院内新聞「多歯言」<第51号>

院内新聞「多歯言」<第51号>

2022年春新聞

 


健康な口腔を育成するために

前編:子どもの頃からできることと記録の重要性

 

大人になってから、歯並びが気になり矯正をする人が最近増えています。

歯並びを綺麗にする方法は様々ありますが、乱れた歯列を綺麗に並べる為に

健康な小臼歯(しょうきゅうし)と呼ばれる歯を

抜歯するケースは少なくありません。

この歯は食べ物を噛み砕くために非常に重要で、また顎を正しい位置に保つ為にも役立っています。

 

当院ではこの小臼歯を、抜歯しないで

歯周病、むし歯に強い口腔に導く咬合育成という治療を行っています。

また、

健康な口腔を育成するために

0歳から口腔を記録できる
歯の成長記録(母歯手帳)

が誕生しました。

 

口腔環境は0歳から大人の歯が

ほぼ生えそろう12歳頃まで1年単位で大きく

変化していきます。

成長していく中でいくつか大切な時期があり、

その時には型取りを行い、模型を作り分析をします。

また、乳歯が大人の歯(永久歯)へ生え変わる時期にはレントゲンをとることで永久歯がちゃんと作られているか調べます。

歯の成長記録(母歯手帳)に関しましては、

後編(次ページ)に詳しく紹介いたしますので参考にしていただけると幸いです。

Dr.H.T

 


健康な口腔を育成するために

編:歯の成長記録(母歯手帳)について

 

前編では子どもの頃からできることと、記録の重要性について説明しました。

後編では歯の成長記録(母歯手帳)について紹介致します。

これは予防歯科の実現の為に平野治朗院長が22年前に作った歴史のある手帳で、0歳から大人の歯がほぼ生えそろう12歳頃までの貴重な資料です。

ステージは大きく分けて5つに分けられます。

 

【ステージ1】 0〜1歳

ここでは生まれた時の身長・体重から個体差とアレルギーなど全身的な記録を取ります。また、授乳状況、離乳食をどのように進めていくのか、

乳歯の生える順番など歯科の立場からアドバイスをさせていただきます。

 

【ステージ2】 3歳

自我が芽生え、乳歯が生えそろってむし歯が出来やすい時期で、生活習慣を作る上でも重要です。本人の性格を見ながらうまく食事ができているか、

指しゃぶりのチェックなどを行います。

 

【ステージ3】 5歳

これから大人の歯が生えてくる大切な時期です。

ここでは歯の写真だけでなく型取りも行い、個々の成長や機能を評価します。

 

【ステージ4】 8歳

歯並びの乱れの色々なサインが出てくる時期です。

この時期にきちんと資料を取り、咬合育成治療を行うべきかどうか診断します。

この時期を逃すと将来矯正治療において抜歯を余儀なくされる可能性が大きくなります。写真、レントゲン、型取りを行います。

 

【ステージ5】 12歳

親知らず以外の大人の歯がほぼ生え揃う時期です。

むし歯・歯周病の予防の為に個々の予防プランを立てます。

写真、レントゲン、型取りを行います。

 

生涯自分の歯で過ごす為に、健康な口腔を育成することは不可欠です。

子どもは日々成長します。また一人一人成長度合は違います。

母歯手帳は時系列で口の中を観察して成長を記録することができます。

またこの記録は成人になっても健康な口腔機能の維持と衛生管理の資料になります。

ご希望・質問等ありましたら当院スタッフまでお声がけください。

 

Dr.H.T

 


歯科用CTの役割

 

従来のレントゲン撮影では、立体のものを平面(2次元的)にした画像で診断を行っていました。歯科用CTであれば、立体的(3次元的)に確認できるようになり、これまでは見ることのできなかった部分まで正確に診断でき治療を行うことができます。

以下どのようなときに使われるのか紹介します。

 

1. 親知らず抜歯

下顎には太い神経と血管が走っており、下の親知らずの抜歯の時、傷つけないように注意が必要になります。従来のレントゲンではこの太い神経・血管が鮮明に映らないことが多く、安全に抜歯するために活用されます。

 

⒉ インプラント治療

インプラント治療前に骨の状態(骨質や厚み、高さ、形態など)や神経・血管の走行部位、インプラントを埋めた後の位置の確認など歯科用CTで確認することで、

インプラント治療を安全かつ精密に行う事ができます。

 

⒊ 矯正治療

元の歯並びにもよりますが、 歯を大きく動かすと歯ぐきがやせてしまうことがあります。歯の周りの骨の量を確認し、歯ぐきに負担の少ない矯正方法を選択するために活用します。

 

⒋ 根管治療

治してもなかなか治らない歯の原因を調べたり、複雑な根の治療を行うときに根の形態、神経の穴の数を調べるなど、様々な状況で利用します。また、歯に穴やヒビが入っているか調べる際にも活用します。

 

⒌ 歯周病治療
歯周病は歯の周りの骨が少なくなっていく病気で、重度の場合、歯はぐらつき、最悪抜けてしまいます。

現在、様々な方法で骨の再生が可能になってきています。

歯科用CTを撮影することで、骨の状況を正確に確認でき、

再生療法の成功率を高める事が出来ます。

 

正確な治療のために、歯科用CTは重要な役割を果たします。

当院では、必要に応じて歯科用CTを用いて、治療を行っています。

興味のある方は、気兼ねなく当院歯科医師にお尋ね下さい。

 


 

Dr.  Y.D
 

 


被せ物を長く持たせるために

 

被せ物や取り外しの義歯(入れ歯)を長持ちさせるには毎日

のメインテナンスが大切になります。

被せ物をした歯の毎日のお手入れやメインテナンスを怠ると、

細菌が入り再びむし歯、歯周病になる可能性があります。

最近増えてきているのが被せ物の使いすぎによる歯根破折です。

 

歯は骨に埋まっていますが、

直接骨とついているわけではなく歯根膜という線維で骨と繋がっています。

歯根膜はクッションの役割をしており、歯と骨に加わる力を分散しています。

しかし、強い力が加わると、歯にヒビが入ることがあります。

歯根破折は、ほとんどが神経を取り除いたもろい歯に起こります。

 

一般的には抜歯になることが多いですが、

歯の状態によっては抜かずに残すことが出来る場合もあります。

歯根破折のリスクを減らすには、

被せ物が入ったからといって安心して噛みくだくのではなく、
用心しながらの使用が必要になります。

 

そのために定期検診は勿論、

片側咬み、歯ぎしり、くいしばり、硬いものをよく食べる生活習慣を見直すことも大切です。


 

 

 

 

 

当院では被せ物をした後も、定期的にかみ合わせに問題がないか確認し、

その他お口の中に変化はないか調べる事で

再治療や歯根破折が起こらないようにメインテナンスをしております。

Dr.T.A

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