院内新聞「多歯言」<第50号>
タバコ、なんで歯に悪いの?
〜後編:タバコは歯周病を悪くする!〜
『最期まで自分の歯でおいしく食べたい。』 これは誰しも思う希望です。
タバコはその希望を脅かす最大の脅威と言っても過言ではありません。
これからその理由とメカニズムをお話します。
歯をなくす原因の70%以上を占めるのは歯周病です。
前編でもお話ししましたがタバコを吸うと歯周病に5倍かかりやすくなります。
そもそも歯周病とはどういう病気なのでしょうか?
食べ物のかす(糖質)がたまると、
お口の中に住んでいる細菌がそれを分解し歯茎のすき間に毒素を作ります。
すると、その毒素を出す細菌を倒そうと、血液中の白血球という免疫細胞が
血管を通って集まってきて、血が溜まることにより歯茎は腫れ、
歯ブラシをすると出血します。
またすき間の深いところに細菌が溜まると歯の周りの骨まで溶かしてしまい、
歯がグラグラし、放っておくと抜けてしまいます。
これが歯周病なのです。
タバコの煙に入っている一酸化炭素は細胞を酸欠状態にします。
また、ニコチンには血管を細くするはたらきがあります。
先ほど説明した白血球は血管を通って細菌を倒します。
血管が細くなると細菌を倒しに行くための白血球の数が減ってしまい、細菌を倒せなくなってしまいます。また酸素や栄養を送ることも難しくなります。
つまりタバコによって細胞は酸欠、栄養失調状態になってしまうのです。
さらにタバコのヤニは細菌の巣になり、
ヤニの中のニコチンがタバコを吸っていなくても歯茎の中にしみ出します。
すると歯周病の悪化がおこり、最悪の場合歯が抜けてしまうのです。
前編後編に渡りましたが、この記事が皆様の禁煙の一助になれば幸いです。
歯科医師 H.T
金属アレルギーのお話
金属が汗や唾液に触れると、金属成分が溶けだしイオンとなります。
このイオンが皮膚から浸透すると、体内には無いタンパク質が出来ます。
これがアレルギー源となります。
アレルギーを発症するかどうかは人それぞれの許容範囲があり、
それを超えるとアレルギーが発症します。
原理は花粉症やアトピーと同じで、決して特殊なものではありません。
金属アレルギーの症状には大きく分けて2種類の症状があります。
接触アレルギーと全身型アレルギーです。
金属が触れている部分が炎症を起こす接触アレルギーは、
ネックレスなど日常生活で汗をかき肌に長時間触れることで起きます。
これは金属アレルギーの原因の多くを占めています。
歯科金属や内服薬、食品にふくまれる金属が体内に侵入することで発症するのが全身型アレルギーです。口の粘膜や腸から吸収された後、
汗として皮膚から分泌すると症状が現れます。
接触アレルギーとは違い全身から汗と共に出てくるので、
手の平や足底に多く症状がみられます。
金属アレルギーを起こしやすい金属で代表的なのが
パラジウム・ニッケル・コバルト・水銀・クロムです。
逆に起こしにくい金属は、金・銀・プラチナなどです。
歯科での治療法は、原因となっている金属を特定しそれを除去、そこへ別種の金属やセラミック、樹脂などに置き換えることによって症状を改善します。
金属アレルギーを調べるには、皮膚科でパッチテストを受ける必要があります。パッチテストは背中に約20種類の金属を溶かした薬を皮膚に貼り付けて
1週間ほど様子を見て、反応のある金属を特定する検査です。
当院では行えませんので、パッチテストを実施している病院を紹介致します。
現在金属アレルギーでお悩みの方、金属アレルギー検査を行いたい方は、
どうぞお気軽に、ご相談ください。
歯科医師Y.D
コロナとむし歯について
新型コロナウイルスが発生してから2年近く経ちます。
私たちの生活はそれまでとは一変し、
あらゆる事に対し我慢を強いられる日々となっています。
そんな中、むし歯で悩む人が増えているという話を聞いたことはありませんか?コロナウイルスの感染を心配し歯科受診を控えた結果、
むし歯が出来てしまったり悪化してしまったという例があります。
また、ずっとマスクをしていると息苦しく、口呼吸になってしまうことがあります。
口呼吸になると通常唾液で潤っている口腔内が乾燥してしまいます。
唾液には口腔内をきれいに洗い流したり、
初期むし歯を治すなどいろいろな働きがあるため、
口腔内が乾燥してしまうと唾液の作用がうまく働かず
むし歯菌が増えてしまいます。
さらに、ステイホームでおうち時間が長くなるとついつい甘いお菓子や
飲み物など間食が増えてダラダラ食べになっていたりしませんか?
この『ダラダラ食べ』もむし歯の原因になっています。
通常口腔内は中性を保っていますが、食後は酸性に傾きます。
口腔内が酸性になると歯の表面が溶け出しますが
唾液の働きによって中和されもとの状態に戻ります。
しかしダラダラ食べをしていると中和されず酸性の状態が続いてしまうため
むし歯になりやすくなってしまいます。
このようにさまざまな条件のもと口腔内の環境は変化します。
お口の健康を守るためにも、こまめな口腔ケアが大切です。
まだまだ先の見えないコロナ禍生活…
外出もままならずストレスも溜まりがちですが、おうち時間に
ハミガキで気分転換してみるのもよいのではないでしょうか?
歯科衛生士K.Y
ストレスとお口の密接な関係
コロナ禍の中、不安を抱え大きなストレスを感じ、
多くの方が心や身体に不調をきたしているようです。
それは心身だけでなく口の中にも現れているようで、
症状を訴える患者さんが多く見受けられます。
ストレスで口の中に何が起きるのでしょうか?
人はストレスを感じると交感神経が優位になります。
すると、口の周りの筋肉が緊張し食いしばる状態になります。
また、ストレスの解消の為さらに体は食いしばりや歯ぎしりを行います。
通常上下の歯と歯が接触している時間は食事の時のみで1日20分程度です。
本来、無意識下の正しい状態は、
唇は閉じていますが上下の歯は2,3ミリほどすいています。
無意識の状態で食いしばる時間は歯にダメージ与えます。
コロナ禍で自宅勤務になりパソコンを集中して見ていたり、
家で料理をしているときなど、
無意識に食いしばっていることが多いかもしれません。
また、睡眠中の食いしばりや歯ぎしりの力は、
自分の体重の2~3倍にあたります。
100キロを超える非常に大きな力なのです。
この力によって、歯が割れる、歯がしみる、詰め物が取れる、
歯周病が悪化する、顎関節症を引き起こすなど様々な症状を起こします。
また頭痛や肩こり等お口以外に関係してくる場合も少なくありません。
気になる事が御座いましたら、当院スタッフまでご相談ください。
歯科衛生士N.A