院内新聞「多歯言」<第34号>

院内新聞「多歯言」<第34号>

歯科用CTを設置しました

2013年10月21日、平野歯科医院本院に歯科用CTが設置されました。
CTという言葉を聞いたことがあるという方もいらっしゃると思いますが、CTとはComputed Tomography(コンピューテッド トモグラフィー)の頭文字をとったもので、コンピュータを使ってデータ処理、画像再構成をおこない、断層写真をみることができる装置です。
平面の診断しかできなかった以前のパノラマX線写真や口内法X線撮影法とは異なり、歯科用CTでは三次元の立体画像で診断することができるため、顎の内部構造や、上顎洞(上あごの骨の空洞)の形態や粘膜の状態、病巣などを立体画像で確認でき、インプラントだけでなく、歯周病や顎関節症の診断、矯正、根管治療(歯の神経の治療)など、幅広く歯科治療に応用することができます。また正確な審査・診断により、治療の安全性を高めることもできます。
御興味、御質問のある方はスタッフまでどうぞ。          T.Y

お口の筋トレ

誰もが一度は体のスタイルを気にして、腹筋や腕立て伏せなどの筋トレをしたことがあると思います。実は口の中のスタイルを整えるための筋トレがあるのです。それはMFT(マイオファンクショナルセラピー・口腔筋機能療法)といって、筋肉のトレーニング(咀嚼・嚥下・口唇と舌がリラックスしている時にある位置の確認)を行い、歯列の正常な成長・咬合を長期間維持するための環境づくりをするものです。
また、「食べる」「飲む」「会話する」「笑う」といった口の動きは、QOL(Quality of life,生活の質)やADL(Activity of Daily Life,日常生活活動)の基本です。健康な体の基本は咀嚼・嚥下・発音・呼吸といった口腔機能から始まっていると言って良いでしょう。
現代の小児は、食生活や生活環境の影響により、舌や口腔周囲筋の筋力低下などの衰えが多く見られるようになりました。くわえて、飲み込む時に舌が前方に突出する癖(舌突出癖)や舌のある位置が低い癖(低位舌)などの口腔習癖を放置しておくと不正咬合を引き起こすだけではなく、口腔機能全般に影響を及ぼします。また、歯並びをきれいに矯正しても「後戻り」が生じることがあります。そのため、問題を引き起こす口腔習癖の改善が必要と考えられ、解決方法としてMFTがあります。
トレーニングの内容は年齢や口腔習癖の状態に合わせて選択しています。今まで意識して動かしたことのない筋肉を動かすので、なかなか出来ずに戸惑うこともあるかと思いますが、トレーニングは自宅でも続けてもらいますので、患者本人・保護者とが協力して取り組むことが大切です。                                            A.M

知覚過敏

知覚過敏は歯の表面のエナメル質が傷つき削れたり、歯ぐきが下がって歯の根が露出したりすることによっておこります。その原因としては歯磨きの仕方、歯周病、酸蝕症、咬み合わせの不良、歯ぎしり、ホワイトニングなどが挙げられます。その対処方法としては、
①硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くのではなく、1歯ずつ丁寧に磨きます。歯磨き粉を使用する場合は、研磨剤無配合のものや知覚過敏用歯磨き粉を使用します。
②歯周病予防のために歯石をとると歯石に覆われていた象牙質が露出し、一時的にしみることがあります。優しく歯磨きをすることで次第におさまっていきます。
③歯科医院では症状によりしみ止め効果のある薬の塗布やレジン(樹脂)などでカバーする治療があります。
④酸を含む飲食物(すっぱいものや炭酸飲料など)は硬いエナメル質を柔らかくしてしまうため、食べ過ぎや飲みすぎに注意します。
⑤一本だけ強く咬んでいると歯の神経が高ぶりやすくなり、しみやすくなることがあります。そのような場合には咬み合わせの調整が必要です。
⑥ホワイトニングによってもしみる場合がありますので、そのような時には主治医の先生と相談してください。

このように知覚過敏症と一口に言っても原因もさまざま、症状にも個人差があります。歯がしみたら早めに受診しましょう。                       K.N

万が一、ご自身の歯を失ってしまったら…

「自分の歯でご飯を食べる」ということは、物心つく頃から当たり前のようにしていることですが、年齢を重ねていくと“ムシ歯”や“歯周病”、“歯をぶつける”などで歯を失ってしまうことがあります。そのような時には歯科医院にてブリッジ(歯のないところの橋渡し)や入れ歯(義歯)、インプラントなどの治療を受けることになります。
削って詰める歯の治療もそうですが、人工物を用いる治療には必ずメリット、デメリットが存在します。以下に代表的なものを挙げます。(下表、図参照)
大きな治療は治療回数、期間も長くかかります。このような治療を受けずにすむように、ご自身の歯を失わないようにすることが大事ですが、もし治療が必要になってしまった場合には、それぞれのメリットやデメリットを歯科医とよく相談し、ご自身に最適な方法で治療を行うようにしましょう。また、治療効果を維持させるためにもリコールチェックを行いましょう。
H.T

歯周外科とその適応症

歯周病は、ご自身によるブラッシングや衛生士が行う歯石除去、ドクターが行う咬み合わせの調整など、基本的な治療で多くの場合には良好化し、症状は安定します。しかし、中等度や重度の歯周病になると、基本的な治療を行っても、炎症が沈静化せず、深い歯周ポケットが残る事があります。そのままにしておくと、歯周病の進行を食い止めることが難しい、そういった場合に行うのが歯周外科です。
歯周外科を行うことによって、清掃器具の届かない深い歯周ポケットが浅くなり、歯の周りの組織の形が変わることによって、ご自身でのブラッシングが行いやすくなります。また、プラークが付着しにくい環境をつくり、炎症がおこりづらい歯周組織を獲得することができます。
しかし、歯周外科をおこなうためにはいくつかの条件があります。まず、正確な検査、診断による外科治療の説明が行われ本人の同意が得られている事、全身の状態が良い事、口の中の清掃状態が良好に保たれている事、そして喫煙がコントロールされている事などです。そして歯周外科後には定期的なメインテナンスとご本人のブラッシングが最重要になります。
日々の臨床では、初めての診断時には歯周外科が必要であると思われる患者様でも、ご本人のブラッシングに助けられ、実際には歯周外科を行わなくても症状が良くなる患者様も多くいらっしゃいます。皆様ブラッシングをしっかり行い歯周外科をしなくてもよいお口を目指しましょう。

Y.N

歯ブラシの歴史

歯磨きの習慣は相当昔からあったと言われていますが、歯ブラシは一体いつ出来たのでしょうか?
時代をさかのぼればインドが発祥の地とされている楊枝があり、これは爪楊枝でなく房楊枝と呼ばれるもので、風味の良い繊維質の樹木の小枝を片方だけ噛み砕いてほぐしブラシのようにして使用していたと言われています。房楊枝は、歯茎に適度に刺激を与え、マッサージをしていたそうです。日本には、538年の仏教伝来と一緒に伝わり、僧侶が身を清める為に歯を磨いた事が歯磨きの習慣の始まりと言われています。江戸時代に一般庶民に広く普及し、楊枝は明治時代初期まで楊枝の形で続いたということです。1498年に中国の皇帝が、豚毛を骨の柄に植えつけたものを歯磨きに使用したのが最初の歯ブラシであるとされています。日本では、明治初期にインドから伝わったものを真似て作ったのが始まりと言われていますが、これは歯ブラシとは呼ばれず、クジラ楊枝と呼ばれていたそうです。歯ブラシとしては大正時代に小林富次郎商店〔現在のライオン〕が《萬歳歯刷子(ばんざいはぶらし)》という商品名で販売したのが最初です。ただし、この頃には歯ブラシ自体への関心が無く、歯の清掃用具として完全に位置づけられたのはもう少し後になってからでした。
歯ブラシにもこのような長い歴史があり、現代になってからは歯周病やムシ歯の予防のための歯ブラシや、電動ブラシなどいろいろなものが登場しています。口腔内や生活環境はひとりひとり異なりますので、歯科医師、歯科衛生士に個人にあったアドバイスを受けることをお勧めします。           H.M

向井診療所に行ってまいりました

私たち平野歯科医院スタッフは、去る2013年9月1日に大和市にある耳鼻咽喉科「向井診療所」を訪れ、舌癒着症の手術を受けた5歳児を対象に、歯科・耳鼻咽喉科合同の検診を行いました。舌癒着症とは、舌の裏にあるスジ(舌小帯)が短く、舌を上手に動かせない状態のことをいいます。舌癒着症により上手に嚥下ができず、将来的に歯列や滑舌、咬み合わせに悪影響を及ぼす場合に、舌小帯の一部を切除して、舌の動きを良くし成長を助ける手術を行います。
歯科の分野では、口腔内診査、歯の型取り、写真撮影、口腔周囲筋の診査(唇の力、咬む力)、舌機能の診査(舌圧、嚥下)などを行い、現在の状態から今後の成長における対応等について、お子様の成長に不安をかかえる親御様、一人一人のご相談にのらせていただきました。
早期にお子様の口腔状態に気づき、小さい頃からその子に合った取り組みをすることが将来的によく咬める咬み合わせを作ること、健康な体を作ることにつながります。予防室ではお子様(乳幼児から)のリコール・チェック時に、このような点もチェックしています。気になることがある方はスタッフにご相談ください。                                   S.M

あとがき
多歯言34号はいかがでしたか
11月28日から12月28日の間本院リニューアル工事を行います。
期間中騒音や出入り口の変更などご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、ご理解、ご協力よろしくお願いいたします。
また、第一駐車場が混雑している場合第二駐車場をご使用ください。
図2
新聞委員
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