院内新聞「多歯言」<第30号>

院内新聞「多歯言」<第30号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:2011年11月8日
HP:http://www.hiranodental.com

一生、御自分の歯で“楽しく”暮らすために


抜歯の主原因(全体)

みなさん8020運動をご存知ですか?これは80歳で20本の歯を残して 健康に暮らそうというものです。8020を達成するためには歯を失わないこと が大事ですが、歯はどうして無くなってしまうのでしょう。
右の円グラフは歯の抜歯理由を示しています。日本人が歯を失う原因 1位は歯周病(41.8%)、2位はむし歯(32.4%)、3位は破折(歯が割れる) (11.4%)となっています。
また下の棒グラフには年齢別の抜歯原因が示されています。これを みると、歯周病による抜歯は30歳代から50歳代にかけて多くなり、それ 以上の年齢ではほぼ一定の割合であることがわかります。また、むし歯 による抜歯は30歳前後まで年齢とともに多くなり、破折は50歳代から 70歳代にかけて多く、これは50代以降になると神経の処置をおこなった 歯が増えてくることも関係していると考えられます。

抜歯の主原因別にみた抜歯数(年齢階級別、実数)
抜歯の主原因別にみた抜歯数(年齢階級別、実数)

これらのデータより、30歳以下ではむし歯によって歯を抜くことが多く、これに対して歯周病は30歳以降から70歳以降まで抜歯をする場合が多く、日本人の30歳以上は約8割が歯周病であるということからも成人期以降は歯周病によって抜歯を余儀なくされることが多いということがわかります。  よって30歳までは特にむし歯の予防を行い、30歳以降は歯周病によって歯を失わないことが大事であり、これら歯を失う原因をできるだけ減らすことによって一生ご自身の歯で暮らしていただけると考えています。  ただし、むし歯・歯周病ともに慢性疾患であるためご自身で気付きづらいという特徴もあります。ひらの歯科医院では定期的なリコールチェックで患者さま皆様の歯と健康を護りたいと考えています。

ひらの歯科医院 院長  H.J

「味」とは

 

私達が食べ物を味わう、味を感じることが出来るのは味蕾(みらい)という器官があるからです。舌の表面は突起で覆われていますが、この突起に混ざってマッシュルーム状の茸状(じじょう)乳頭があり、この中に味蕾が1個~数個あります。舌根部にはクレーター状の有郭(ゆうかく)乳頭があり、これら2種の乳頭に舌全体の70%の味蕾が存在します。舌後方の側面には葉状(ようじょう)乳頭があり、味蕾が散在しています。残り20~30%の味蕾は、咽頭・軟口蓋の粘膜上皮などに存在しています。味蕾の総数は成人で約7,500個といわれています。

味蕾は微妙な味の違いを瞬時に感知できる優秀な器官です。甘味(エネルギー源の味)・塩味(生命活動に必要なミネラルの味)・うま味(アミノ酸の味)・酸味(体に有害な酸や食物の腐敗した味)・苦味(有害物質や毒物の味)の基本味といわれる5つの味を感知し、その情報が味覚神経を通じ脳へ伝わり味を感じとることが出来ます。また、辛味は味蕾ではなく口腔粘膜にある痛さや熱さを感じとる神経で感知しています。

味覚は感覚の中で最も衰えにくい器官です。味覚を正常に保ち何でも美味しく食べ、腹八分目にしておくことが健康には効果的です。私達が食べ物を味わう、味を感じることが出来るのは味蕾(みらい)という器官があるからです。舌の表面は突起で覆われていますが、この突起に混ざってマッシュルーム状の茸状(じじょう)乳頭があり、この中に味蕾が1個~数個あります。舌根部にはクレーター状の有郭(ゆうかく)乳頭があり、これら2種の乳頭に舌全体の70%の味蕾が存在します。舌後方の側面には葉状(ようじょう)乳頭があり、味蕾が散在しています。残り20~30%の味蕾は、咽頭・軟口蓋の粘膜上皮などに存在しています。味蕾の総数は成人で約7,500個といわれています。

味蕾は微妙な味の違いを瞬時に感知できる優秀な器官です。甘味(エネルギー源の味)・塩味(生命活動に必要なミネラルの味)・うま味(アミノ酸の味)・酸味(体に有害な酸や食物の腐敗した味)・苦味(有害物質や毒物の味)の基本味といわれる5つの味を感知し、その情報が味覚神経を通じ脳へ伝わり味を感じとることが出来ます。また、辛味は味蕾ではなく口腔粘膜にある痛さや熱さを感じとる神経で感知しています。

味覚は感覚の中で最も衰えにくい器官です。味覚を正常に保ち何でも美味しく食べ、腹八分目にしておくことが健康には効果的です。

歯ブラシ・歯間ブラシのお手入れ

 

むし歯や歯周病の予防のために歯磨きをすることは、私達が小さな頃から家庭、学校、歯科医院などにおける指導により習慣化していますが、毎日使う歯ブラシや歯間ブラシの衛生状態や保管方法については、気にしていない事もしばしばあるのではないでしょうか。これらを使用した後には歯垢(プラーク)などの細菌や食べかすなどが付いています。歯ブラシ、歯間ブラシはお口を掃除するものですから衛生第一です。衛生を保つためには、使用後に流水下でしっかりと洗い、風通しの良い所にブラシを上にして立てるようにしましょう。濡れた状態が長くつづくと菌が繁殖する事もあります。保管中に埃が付く事もありますのでよく洗ってから使用することをお勧めします。  また歯ブラシ、歯間ブラシには寿命があります。個人差もありますが目安として、歯ブラシの交換は1日3回の歯磨きで約1ヶ月、裏側から見て毛が広がっている状態や、毛の弾力性が落ちても替えるとよいでしょう。また歯間ブラシは1〜2週間が交換の目安ですが、毛が減ったりワイヤーが曲がった場合も交換しましょう。不良な状態で長く使用する事によって、清掃効果が下がることもあり、また歯肉が傷つき退縮してしまうこともあります。  この機会にお使いのブラシを確認してみてはいかがでしょうか?

メタボリックシンドロームと歯周疾患

A.M

昨今私たちは「メタボ」という言葉をあらゆるところで目や耳にし、それについての情報を容易に得ることができます。
ご存知の通り「メタボ」とは「メタボリックシンドローム」の略語であり、この生活習慣病は現在多くの人々が抱える問題になっています。
健康診断の結果を見るときに私たちが知っておきたい項目と数値として、①腹囲男性85cm、 女性90cm以上、 ②血圧130/85mmHg以上 ③中性脂肪150mg/dL以上またはHDLc 40mg/dL未満 ④血糖110mg/dL以上 の4項目があり①を含んだ3項目に当てはまるとメタボということになります。
では、メタボになるとどういった問題が起こるのでしょうか。
まず、「肥満症」「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」といった疾病が発症しやすくなります。またこれらの疾病は「動脈硬化」となる危険因子です。その中で「糖尿病」と「循環器系疾患」(高血圧、動脈硬化など)は歯周病と深い関わりがあります。
糖尿病の6番目の合併症として歯周病が含まれ、歯周病細菌による炎症が血糖コントロールを悪化させ、またこの逆に、歯周治療を行うことで糖尿病患者の血糖値が低下するという報告は広く知られるようになっています。
「循環器系疾患」では、炎症を起こしている歯肉の血管から歯周病細菌が進入し、血流にのって全身に移行し定着することで「狭心症」や「心筋梗塞」のリスクが増加することが分かってきました。

 このように生活習慣病・メタボリックシンドロームと、歯周病は互いに影響し合い、複雑に絡み合っているため、身体はもちろんの事、口の中の健康にも十分配慮をしめす必要があるのです。

タバコの影響

H.S

みなさん、タバコが身体に悪影響を及ぼしていることはよくご存知だと思いますが、身体だけではなく、歯周病にも大きな影響を及ぼしている事をご存知でしょうか?
喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍も歯周病に罹患しやすく、喫煙暦が長く、一日の本数が多ければ多いほどその倍率が高くなります。
タバコに含まれる三大有害物質として「ニコチン」、「タール」、「一酸化炭素」があげられます。これらの成分のうち、「ニコチン」は血液の流れを悪くさせ、身体の抵抗力を下げます。
「一酸化炭素」は赤血球のヘモグロビンと結合し体内の酸素を不足させ、歯肉に必要な栄養分や酸素が十分に供給されなくなります。そのためお口の中の組織が栄養失調状態となり、活性化されにくくなります。 さらに、喫煙者は唾液の分泌量が低下する為、細菌の繁殖を抑えづらくなり、歯垢や歯石が増えてしまいます。このような事から、喫煙者は歯周病にかかりやすく、かつ治りも悪くなってしまうのです。
お口の中は身体の中でタバコの被害を最初に受ける場所です。
身体の健康だけではなくお口の中の健康維持のためにも、一日も早い禁煙をお勧めいたします。

歯の根が割れる!? 〜歯根破折〜

Y.N

歯は、口の中に見えている、いわゆる歯(歯冠)と、歯茎の中にある 根っこの部分(歯根)に分けることができます。この歯根は骨に埋まって いますが、直接骨とついているわけではなく、歯根膜という線維で骨と 繋がっています。歯根膜は歯のクッションの役割をしており、咬む力が 加わると線維が伸び縮みして、歯と骨に加わる力を分散させています。
しかし、クッションの許容範囲を超えるような強い力が加わると、歯冠 や、歯根にヒビが入ったり割れることがあります。歯(歯冠)が破折すること を歯冠破折(しかんはせつ)と呼び、歯根が割れたりかけたりすることを 歯根破折(しこんはせつ)と呼んでいます。
歯根破折は、そのほとんどが神経を取り除く治療を行った歯に起こり、神経の残っている歯にはまれに起こります。この違いは、神経を取り除いてしまった歯が、神経の残っている歯より強度が弱くなっていくことが原因として起こると考えられています。
また、歯根破折を起こすと、次のような症状が現れます。歯茎が腫れる、咬むと痛みがある、かぶせてある金属や詰め物が外れる、歯が動く、等です。
歯根破折を起こし、下の写真のようにタテに割れてしまった歯は、基本的には抜歯をおこないますが、ひびが入っただけの歯やひびの入った角度によっては、すぐ抜歯するのではなく、残せるのであれば残していくのも選択肢の一つです。ただし、残すことにより痛みが出たり、歯茎が腫れたり、周囲の骨に炎症が起こることもありますが、定期的に健診をおこない、著明な変化がなければ経過観察できることもあります。
歯根破折は歯科医学においても予測が非常に困難であり、歯科医も悩ませる「事故」といえます。
歯根破折のリスクを減らすには、繰り返し虫歯治療を行なわないようにし、できるだけ歯の神経を残す事が大切になります。また、咬む力は食事の時には自分の体重(約50〜60kg)位かかり、夜間に歯ぎしりや食いしばりをする際にはこの2〜3倍の力がかかります。1本の歯に負担が多いような咬み合わせ、咬み癖をしていると力が集中し、歯根破折を起こしやすくなります。歯根破折を防ぐためには定期検診、正しい歯磨きや規則正しい食生活などの生活習慣を見直すことが大事であり、これらのことは、歯の寿命を延ばすことにもつながります。また「片側咬み」 「歯ぎしり」 「くいしばり」「硬すぎるものをよく食べる」事は歯根破折を起こす可能性が高まりますので気をつけましょう。


腫れたときのX線写真
歯の周囲の骨に炎症が起こり黒く見えます


口腔内写真
歯根に破折線が確認できます


2つに割れてしまった歯

あとがき

多歯言三十号は いかがでしたか。

秋も深まり食べ物のおいしい季節になりました。
秋の味覚をおいしく頂くためにもお口の健康は欠かせません。しかし、食べ過ぎには注意しなければいけません。何事もほどほどに日頃の心がけが大切ですね。

次回、第三十一号は 2012年6月4日の発行予定です。 お楽しみに

新聞委員

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