口腔乾燥症とその対応
H.S
口腔乾燥症とは、唾液分泌量の減少による口腔内の異常な乾燥状態を示す症状名で、口が渇く、ねばねばする、しゃべりにくい、飲みこみにくい、味がわかりにくい、口の中や舌が痛い、ひりひりする、汚れやすい、口が臭い、入れ歯が装着しにくい、くちびるが切れるといった自覚症状があります。また、唾液の減少は口腔内の自浄作用が低下し、ムシ歯、歯周病、口腔カンジダ症が発生しやす、く悪化しやすい状態になります。
この原因には、以下のものが挙げられます。
①唾液腺の機能低下(加齢などによる) ②服用薬による副作用
③全身状態に関係するもの(脱水症、下痢、糖尿病など)
④神経性(神経の障害、極度の緊張、自律神経障害など)
原因によって治療法は多少異なりますが、乾燥症状が改善するまでは、保湿剤入り洗口液、保湿ジェル、人工唾液などによる口腔内湿潤・乾燥症状の改善、リップクリームによる口唇の保湿などの対症療法が行われます。それと同時に口腔乾燥症に対する生活習慣指導として、高齢者ではのどの渇きの感覚が減退するので意識して少しずつ水分補給すること、よくうがいすること、野菜・果物など線維性の食品を摂りよくかむこと、砂糖の摂取を控えること、飲酒・喫煙・カフェインの摂取をひかえる指導を行っています。また、口腔乾燥で生じたムシ歯・歯周病・口腔カンジダ症は治療を行うとともに口腔粘膜清掃、入れ歯の清掃、歯みがきの指導、フッ素塗布を行ってリコールチェックにて再発予防に努めています。 |