患者さんと共に歩む
平野歯科三世・父Yを昨年10月4日に亡くしましてから、早くも8ケ月たちました。その間、多くの患者様から厚情や交誼、また激励のお言葉を頂き感謝しております。
亡き三世もさぞかし慰められていることと存じます。また同時に、私自身、生前以上に三世の偉大さと平野歯科医院の126年の歴史を痛感している次第です。一世、二世、三世の院長は、保ち続けた診療行為から生まれた情意を大切に、町医者として、人として地域の人々と生活を分かち合ってきました。 「人間そのものを大切にする根本的な人生観、生活状況を守り、しかもその支えとして歯科医療はなくてはならないもの」と考えて来ました。とくに、三世の果たすべき役割は、「自制と責任」が存在する予防歯科を中心とした医療であったと感じられます。
近年、医療技術は日々進歩しています。そのことから、インプラント、再生医療などといった先進医療がもてはやされ、学会や誌上に報告されています。私自身も数多くの研修会に参加、発表などをし、新しい治療方法の取得に研鑽して来ました。しかし治療方法や歯科医師自身の研修はさることながら、それよりも大切なことを三世から学びました。それは、患者さんの現状をありのままに受け止め、温存しつつ、コントロールし、それを何十年に渡って機能させることができるという考え方についてです。実際、50年以上リコールに応じて頂いた患者さんも存在し、口腔の不安を解決し安らぎのある安全な診療を実践していました。リコールシステムは人と人との繋がりを大切にしていたからこそ生み出されたものと考えています。振り返って三世の診療を思い出しますと、治療時間より、歯の治療以外の話をしている時間のほうが長かったように思います。歯科医師は技術に走りがちです。また、新しい技術を学ぶことは歯科医師にとって大切なことです。しかし、歯科医師として技術はできてあたりまえのことであり、学問以外に歯科医師としてもっと大切なことがあることに気付きました。
これからは、平野歯科の四世院長として「自制」を感じながら、今まで培って来た信頼に答えるため、より確実で幅の広い歯科治療の研鑽をすると同時に、町医者としての立場を考え、思いやりのある診療「人間有在な診療」を実践していきたいと考えています。そして 患者さんと共に人生を歩めたら幸せと感じております。
これからも、スタッフー同、三世からの意向を引き継ぎ、ひとつになって良質の予防歯科医療をより多くの患者さんに提供できるように切磋琢磨します。これからもよろしく御願いします。
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