院内新聞「多歯言」<第05号>

院内新聞「多歯言」<第05号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:1999年6月4日

入選おめでとう

当歯科医院の患者さんが平塚市歯の衛生に関する作文、ポスターで入選されました。

作文:O.Mさん、H.Sくん
ポスター:A.Tさん

平野歯科スタッフ全員で喜んでいます。
相模原小学校4年O.Mさん
親子三代にわたり当院予防歯科に通っています。

歯をたいせつに
相模原小学校4年 O.M
「ああよかった。」

学校の検査で、わたしは、むし歯もはぐきもとくに悪い所はありませんでした。きっと毎日つづけている歯みがきがきちんとできているのだろうと思いました。わたしは、2年生の時歯がいたくなって、お母さんといっしょに歯医者さんへ行ったことがあります。むし歯が4本ありました。むし歯の所をけずられました。つぎに薬をぬりました。黄色の薬でした。変なにおいがして一瞬痛かったです。歯のちりょうが終わってから今度は同じ歯医者さんで歯のみがき方をおそわることになりました。むし歯がなおったのにどうしてと最初はふしぎでした。そのわけはわたしの歯みがきがあまり上手ではなかったからです。かがみの前に立って自分で歯をみがくとちがっている所は、お姉さんの先生が教えてくれました。「やさしく一本一本みがいたほうがいいよ。」「かがみを見ながらみがくときれいによごれが取れているかわかるよ。と歯ブラシをもってやり方を教えてくれました。わたしは、歯ブラシを歯にぎゅうっとおしつけてやっていました。そうすると、よくみがけないし、歯もいためてしまうそうです。わたしは歯ブラシの使い方を3回も教えてもらいました。それからわたしは、いつも夜は5分、朝は3分と決めて歯をみがくようにしています。お姉さんの先生から「歯をやさしくみがきなさい。」といわれているけどときどき強くみがきすぎて歯肉から血がでてしまうことがあるので、歯ブラシをかるくもってこまかくみがくようにしています。夜はときどき、お父さんかお母さんがみがけているかどうかしらべてくれます。わたしは、これだけみがいたからよくみがけていると思うんだけどお母さんは、「はるか、よくみがけていない所があるよ。」と言ってもう一度みがきなおしをさせられます。一かしょだけ一番おくの歯がみがけていないことが多いです。でもこのごろは、すみずみまで歯ブラシがとどくようになりだんだん上手になってきました。もっと上手になりたいなと思っています。歯みがきはめんどくさいなと思うときもあります。でもむし歯になった歯は元にもどらないのでちゃんとやっておこうと思っています。学校で見たテレピで食べものとむし歯のことをやっていました。わたしは、アイスが大好きです。1日に5こたべる時もあります。でも、アイスにはむし歯に関係するさとうがたくさん入っています。食べる数をへらしたり、夜食ぺるのをやめるなどして、これからは食べもののことを気をつけて、また5年生でもむし歯ゼロになりたいです。

作文:O.Mさん、H.Sくん
ポスター:A.Tさん

平野歯科スタッフ全員で喜んでいます。

夢の薬登場 ~3Mix~

当院では皆さんご存じのように、できるだけ歯を削らない、抜かない治療を基本としています。(第2号、サホライド参照)しかし、虫歯が進むと病巣を取り除く治療(削る)になります。できれば削りたくないですよね。へ原因となる細菌・病巣を無菌化にし、歯(軟化象牙質)を硬化(再石灰化)することで、歯の寿命を延ばすことができるのが3Mixという薬です。この薬を使うと歯を削る量が少しですみます。
担当医師に相談して下さい。
(受付 F.A)

~予防室からPART3~ 母歯手帳

ただいま当院では、歯の健康手帳HCL(Helth Care LIFe)を製作中です。これは、いわゆる母子手帳のようなもので、お子様を対象としています。ひとくくりにお子様といっても、一人一人顔が違うように成長、発達のぐあいにも個人差があります。そのため、個人の情報を記録しておき、その状況に応じた適切なケアができるようにこの手帳を活用していきたいと考えています。また、保護者の方にはお子様のお口の中の状態を把握することに役立てていただきたいと思います。手帳の中には、歯の萌える順番や歯並びにっいて等の情報の揖載、おロの写真を貼るページなど、いろいろ加える予定で坑皆さん、楽しみにお待ちください。
(歯科衛生士 K.Y)

古老のつぶやき -第3話- 虫歯の話(お呪い)

私の40年来友人に愛知県岡崎市生まれのN氏がいる。或る日、話のはずみで「歯痛」の話になった。そこでN氏が何とも奇妙な歯痛を治す「お呪い」の話をした。
一話はこうだ…
1. 火鉢に鉄板を起き加熱する。(イ図)
2. その上にゴマの油を数滴たらす。(イ図)
3. その上にお椀のそこに穴を開け女竹を差し込んで、椀をかぶせる禅に置く。(ロ図)
4. 女竹の先から煙が出る。その煙を痛む側の耳の穴に入れ、しばらくそのままして…(ハ図)
5. 椀を採ると、鉄板の上に白いカスが出る。これが通稻虫歯の虫で、これが出れば痛みは治る。(二図)
とのことであった。当然歯科医師の私には信じられるものではなく一笑に付した。ところが最近明治大正時代の歯の文献を読んでいると偶然にもN氏の話と同様なことが記されていた。
(よはい草 第1輌)
韮の実を火に焚いて、右煙を以て、痛むところへ管を以て通じいぶしければ、即効なり。亦瓦を焼いて半盥やうの物に入れ、韮の実をおいて湯を掛け喉へば煙り立つを、その煙にて耳をむせば、耳の中より白きもの出れば虫歯の虫なり。これを見て今更の様に当時の庶民生活の一端を彷彿させられた。そこで「お呪い」について調べると
・茄子の帯を黒焼きにし七寝る前につける。
・半紙へ自分の顔を描き、口を大きく描き、歯の数を書いて、その痛む歯に灸をすえて、紙を焼きぬくと治る
・白紙を十六カ所折り、痛む歯のうえから押さえる。
・桃の枝を折って噛む。
・蛸の絵を紙に書き、逆にして下に貼り、終始水をかけると治る。
・ざくろの皮を噛みしめる。
・腹蛇の骨を痛む歯で噛む。
等に多数あるが特に神奈川県におけるお呪いでは
真言宗大師堂の両側に八視大師の像がある。この画像に「死ぬる前に一年を差上げる故癒して下さい。」と祈念する。
落雷がした杉の木の一片を噛む。
相模国愛甲郡小鮎川上流の河畔に繭歯地蔵というのがある。画歯になやむ者、己の常用する箸を持ち小鮎川にかけた小橋を渡れば治る。ただし大橋を渡れば一旦治っても亦痛む。大橋より小橋の方が人通りが多いのはこれ故なり。
以下原文を止むる
一等々話しは盡きないが今回はこの位にしておきましょう。一
院長 H.Y

MFT  腔筋機能療法

皆さん。MFTってご存じですか?
MFTとは、口のまわりの筋肉の訓練により、舌癖を取り除くことを目的としたトレーニングです。舌癖とは、口呼吸や指しゃぶり、舌小帯(舌の裏にあるすじ)’が短かったり、離乳食の与え方などが原因で、つばを飲み込むときに、舌を上の歯と下の歯の間に突き出し、歯を押すような癖のことを言います。このような舌癖を習慣的に行ったり、鼻で息せず口で息する人は、ロ唇や頬の筋肉に力がないので、歯列不正の原因になります。
平野歯科医院では、舌はもちろん、口唇や頬、口のまわりの筋肉をつけるためのMFTのトレーニングを行っています。3ヶ月を目標に、口唇を閉じて舌を上顎につけ、奥歯を噛みしめ、のどを使って飲み込むという歯並びに悪い影響を与えない正しい飲み込み方ができるようにしています。
(歯科助手 F.K)

あとがき

『皆様に歯に関するより一良い情報をと手探りではじめた「多歯言」も無事一第五号をむかえ’ることができました。これも皆様のおかげと感謝しております。
これからも皆様のご意見、ご感想をお待ちしています。原稿を快く引き受けて下さった方々にお礼を申し上げます。第六号は十一月八日発、刊の予定です。

〈編集委員〉

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