院内新聞「多歯言」<第59号>
平野歯科医院歴史シリーズ2
〜平野歯科医院の始まりを探る〜
歯科医師 T.H
平野歯科医院の歴史をたどると、江戸時代に地域の人々を支えた「山伏(やまぶし)」であった事が分かります。
山伏とは、山で祈り、修行をする人たちのことですが、先祖はただ修行するだけではなく修行の中で薬草の知識を得て、里へ下り人々の不安や病に寄り添っていました。(ちなみに先祖は天台宗の山伏として伊勢原市下谷にある八幡神社の責任者をしていたそうです。)
明治時代、山に入って修行することが禁止され、山伏たちは制度的な立場を失いました。そこで、先祖は江戸に出て医学を学び、祈りの精神を医学へと転換する道を選びました。



最後の山伏 石川元悦
先祖の想いを受け継ぎ、明治12年(1879年)、初代である平野元晴(ひらのもとはる)は平野歯科医院を創業しました。歴史はその後も街医者として歩み、地域の皆様に支えられながら5代まで繋がり もうすぐ150年になります。
つまり、私たちの歯科医院は、山伏の人を助ける「祈り(温かさ)」から始まったといえます。私たちは先祖から受け継いだ山伏精神で修行(研鑽)し、チームワークを高めながら、これからも歩んでいきます。そして、先人たちが大切にしてきた「人を想う温かさ」を胸に、創業200年を目指し患者さん一人一人に丁寧に向き合ってまいります。次回は平野歯科医院創業後のストーリーを紹介します。乞うご期待!
ナッツで抜歯に?歯根破折の原因
歯科衛生士 S.A
体に良いとされるナッツなどの健康食品ですが、実は「歯」にとっては 必ずしも安全とは限りません。
歯の根元が真っ二つに割れる「歯根破折(しこんはせつ)」の主な原因は3つあります。
①治療で神経や血管を失い「枯れ木と同じ状態」に乾燥して脆くなった歯の劣化
②睡眠時に体重の2〜5倍もの過剰な負荷が掛かる歯ぎしり食いしばり
③ナッツや煎餅など硬い食材を食べる習慣
特に被せ物などの治療をした脆い歯に、硬いものを噛む
「過剰な咬合力」が繰り返し加わると、負荷の累積によって破折を招き、抜歯に至るケースが多くみられます。
予防のためには、大きな虫歯を作らないことはもちろん、ストレスの管理やナイトガードの使用がお勧めです。

そして「健康に良いものが必ずしも歯に良いとは限らない」という意識を持ち、毎日の噛み方の習慣を見直しましょう。食べる際は、①一口につき約30回を目安に噛む ②左右の歯をバランスよく使う ③早食いを避け落ち着いて咀嚼する の3つを心掛け、自分の歯で食べる為に明日から心がけましょう。
金属の値上がりについて
歯科技工士 S.T
歯科の被せ物に使われる金属は、金,プラチナ,パラジウムなど希少性が高く化学的に非常に安定した価格も高価なものが使われます。
金属による被せ物は強度が高く薄く作ることができ、歯を削る量を最小限に抑えることが
できます。主に自費診療に使われるゴールドは非常に生体親和性に優れたうえに展延性 (引き伸ばせる性質)が高いため噛み合う歯を痛めにくく長期にわたって口腔内に馴染んでいきます。
しかし金属の歯は審美性に欠けてしまうデメリットもありますが噛み合う力のかかる部分だけ金属を使い表面をセラミックで仕上げる製作方法もあり、機能性や歯を長持ちさせることを最優先にするのなら金属を使った被せ物が非常に優れていると言えます。
そしてもう一つのデメリットがコストです、金の価格が高騰しており現在では歴史的な
高水準にあります。10年前と比べると6倍近く20年前とでは15倍となります。
その為自費診療の被せ物の価格は上がらざるを
得ない状況にあり患者さんの負担も大きくなり
保険治療においても金銀パラジウム合金の価格が高騰しており共にコストが見直されつつあります。

三菱マテリアル 金価格推移年次グラフ
https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_longspan より
そこで現在では、その代替案として、金属に匹敵する
強度を持つ白くて強いセラミック(ジルコニア)が推奨されています。
ジルコニアは生体親和性が高くアレルギーや変色のない安全な素材です。
金やパラジウムのような希少金属ではない為市場価格の急激な変動が起きにくく患者さんにとっても予算が立てやすい素材であると言えます。しかし、圧倒的な強さに起因する
いくつかの注意点があります。口腔内にセットする際に精密な調整を行わないと噛み合う
歯を痛めてしまったり強くて壊れないことが逆に自分の歯を痛めてしまうことがあります。金属と同様にジルコニアにもメリット、デメリットがあるので被せ物をする際は歯科医師と の相談の上、素材を選択することをお勧めします。
ジルコニアってどんな素材?
歯科技工士 T.S
ジルコニアは、セラミック系材料の一種で、「人工ダイヤモンド」と呼ばれるほど高い強度と美しさを兼ね備えた歯科素材です。白く自然な色調を持ち、近年では被せ物や詰め物、ブリッジなど幅広い治療に使用されています。
従来のセラミックは見た目が自然な反面、割れやすいという弱点がありました。
しかしジルコニアは金属に匹敵するほど硬く、奥歯のように強い力がかかる部分にも使用できる高い耐久性があります。歯ぎしりや食いしばりがある方にも適した素材として注目されています。
また、金属を使用しない「メタルフリー素材」のため、金属アレルギーの心配が少なく、
歯茎の黒ずみも起こりにくいのが特徴です。透明感のある白さで天然歯に近い自然な見た
目を再現できるため、美しさを重視される方にも選ばれています。
さらに、表面が滑らかで汚れや歯垢が付きにくく、虫歯や歯周病の予防にもつながります。熱が伝わりにくいため、冷たいものがしみにくい点もメリットです。適切なケアを行えば10年以上使用されているケースも多く、長期間きれいな状態を保ちやすい素材です。
一方で、自由診療となる場合が多く費用が高額になりやすいことや、硬い素材のため修理や調整が難しい場合がある点はデメリットとして挙げられます。
ジルコニアは、「美しさ」「丈夫さ」「身体へのやさしさ」を兼ね備えた、現在の歯科治療で注目されている素材のひとつです。

平野歯科医院のOB会を開催しました!
歯科医師 A.T

4月29日に9年ぶりに平野歯科医院OB会が開催されました。当日は大変お天気にも恵まれ、関東圏だけでなく、岐阜県、群馬県、香川県など全国からこの日のために15人の先生方が平塚まで来てくださいました。会は村尾先生の司会のもと先生方の近況報告がありました。 9年ぶりの開催でそれぞれの先生方が久しぶりにお会いした先生と 笑顔で昔を懐かしんでいました。大八木先生からは最近の趣味であります肉寿司をその場で握って振る舞って頂きました。最後は先生方の健康談話で大いに盛り上がり、終始大盛況でした。
改めて、平野歯科医院の歴史の厚み、深みを感じると共に多くの方が居るから平野歯科医院があるのだと感謝の気持ちでいっぱいになりました。 懇親会では院長の近況報告の後歯科医院の目前にあります、一粋で皆でうなぎと院長が釣った鯛を食しました。

大八木先生による肉寿司の実演

懇親会は一粋でうなぎ
~あとがき~
多歯言59号はいかがでしたか。
日常生活が歯に与える影響の大きさがわかっていただけたと思います。
また近年の金属の価格変動による材料の変化も感じていただけると幸いです。
リコールチェック、日常習慣に気をつけて健康で温かい日々を送りたいものですね。
多歯言60号は11月8日発行予定です。
新聞委員 AT、NA、YK、MM、YM


