院内新聞「多歯言」<第44号>

院内新聞「多歯言」<第44号>

院長が市役所にて講演してきました

院長が、平塚市役所にて65歳以上の方々に向けた講演を行いました。演題としては「高齢者が豊かに生活を過ごす為の口腔ケア」というものです。歯周病の話や実際の症例などを交えながら市民の方にお話しさせていただきました。

今回の講演内容を一部ご紹介させていただきますと、サルコペニアやロコモティブシンドローム、フレイル、オーラルフレイルといった皆様が聞き慣れていない言葉の説明がありました。サルコペニアは様々な要因による骨格筋量の減少や機能低下をあらわします。ロコモティブシンドロームは運動器官に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をあらわします。これらの状態を予防する為に必要なことは、しっかりと栄養を取るだけでなく適度な運動も必要です。

また、フレイルとは加齢にともなう老化以上の様々な機能が低下することで、身体のことだけでなく、精神・心理や社会性の脆弱な状態をあらわします。そのフレイルの段階の手前で現れる状態がオーラルフレイルであり、食べこぼしや、むせ、滑舌低下など口腔機能の低下した状態です。この状態を予防する為には、口腔内に関心を持つことや、歯を失わない、歯科医院での定期健診、社会参加をすることが大切です。

平野歯科医院はこれからも皆様の健康的な生活を過ごす為のお手伝いをさせていただきますので、何かお口のことで気になることがありましたら、スタッフまでお申し付け下さい。

N.A

 

手用と電動どちらを使えばいいの?

 手用歯ブラシと電動歯ブラシどちらを使ってもよく、大切なことは磨き方の基本ができているかということです。手用歯ブラシも電動歯ブラシも正しい磨き方ができてこそ、きちんと汚れが落とせるものです。汚れをしっかり落とすことが重要です。共通のポイントは歯と歯肉の境目、奥歯の咬む面、歯間に汚れが溜まりやすいことを意識しましょう!

 手用歯ブラシのポイントは、歯磨き粉は泡立ちすぎると磨けた気になりがちなので、5ミリ程度と少なめにしましょう。毛先をきちんと当て、小刻みに動かすようにします。

注意点は軽い力で磨くことです。電動歯ブラシのポイントは、歯磨き粉をつけないで磨くか、研磨剤も発泡剤も入っていないジェルタイプのものがおすすめです。手用歯ブラシとは違い、1箇所に数秒毛先を当て徐々にスライドさせ、強く当てすぎないことが重要です。

ぜひ日頃のケアで実践してみてください。

もしわからないことがあれば、お気軽にスタッフにお尋ねください。

 

 

シリーズ:噛み合わせ ~過蓋咬合とは~

通常の歯並びは上顎の前歯と下顎の前歯は少し重なり合います。過蓋咬合は上下の咬み合わせが深くなり、下顎の前歯がほとんど見えないほど上顎の前歯が深く覆っている咬み合わせをいいます。

過蓋咬合には遺伝による骨格や歯の異常が原因の場合と後天的な原因の場合があります。骨格や歯の異常は下顎の骨格の成長不足や、奥歯の高さが足りない、上顎の前歯が長く伸びていたり、下顎の前歯が内側に傾いていたりするなど上下の歯のバランスによって咬み合わせが深くなります。後天的な原因では頬杖、指しゃぶり、口呼吸、唇を噛んだり吸ったりする癖などが原因になることがあります。それによって出る影響は顎関節症やムシ歯、歯周病になりやすくなることです。

歯周病によって歯肉や歯を支える骨が吸収すると、歯は病的な移動を起こします。そして垂直的な咬み合わせの支持が失われ、過蓋咬合や下の歯並びが悪くなってしまったり上顎の前歯が前に動いてしまったりします。歯周病を予防、管理することは成人における不正咬合の予防につながるため、定期的なリコールが大切です。

O.A

 

予防室における舌圧、嚥下圧測定について

高齢化が進む現代において、お口の中の加齢変化に着目されるようになってきました。

医院では様々な検査をしていますが、咀嚼機能に重要な舌についての評価も行うようになりました。全身の筋力と同様に、舌の筋力も60歳以降低下すると言われています。飲み込む力が衰えてしまうと、食べ物が喉につかえる、段々とむせやすくなる、飲み込んだ後もお口の中に食べ物が残りやすくなります。すると誤嚥や体内にうまく栄養を取込む事が困難になり、低栄養を引き起こす可能性があります。そこで今秋より65歳以上の患者様を対象に、予防室の歯石取りの際に、舌機能の測定を行うことにしました。

専用の機器を使用し、舌の運動機能の最大舌圧(舌圧)と嚥下時の舌圧(嚥下圧)を測定します。測定することによって自身の舌機能状態を知る良い機会にもなりますので、ご協力お願いします。

                            A.M

滅菌・初診再診の変更

日常的に唾液や血液等に触れる環境下にある歯科外来診療の特徴を踏まえ、歯科医療機関における院内感染対策を推進するため、平成30年度診療報酬改定において、「施設基準」が新設されました。これは患者様ごとに、歯を削る機器の交換・滅菌等の体制であり、届け出のない医療機関は初診・再診料は減算となります。平野歯科医院では、器具の滅菌・消毒に関して次のように取り扱っています。滅菌は全ての微生物を死滅または除去する事です。消毒は人畜に対して有害な微生物・目的とする対象微生物だけを死滅する事です。皮膚や粘膜を穿通する器具は必ず滅菌します。粘膜と接触して使用する器具は、滅菌少なくとも消毒します。正常な皮膚と接触して使用する器具は汚染の程度に応じて、消毒、洗浄します。使い捨てのもの以外の熱や錆に強い器具は121℃または130℃以上の高温蒸気により素早く滅菌するオートクレーブという機器で、滅菌しています。熱や錆に弱い器具は、グルタラール製剤による高水準消毒にて対応しています。また歯を削る機器(ハンドピース)は患者様由来の唾液・血液・体液により内部が汚染されるため、患者様毎にオートクレーブ滅菌を行い交換しています。

 平野歯科医院では患者様全てに安心をお届けするために、「施設基準」の届け出を出し、高水準の滅菌システムでの治療を行っておりますので、どうぞ安心してご来院ください。

 

抜歯の基準(歯の保存)について

『抜歯』と聞くと皆さんはきっと怖い、恐ろしいイメージがあると思います。

歯医者さんに来て抜歯をした経験がある方も未経験な方もきっと先生に抜歯をしなければならないと説明があった時こう思うかもしれません。
『何故抜かなければならないのか?本当に残せないのか?』

実際、大きく抜歯の原因となるのは①歯周病 ②むし歯 ③矯正治療時や親知らず・位置異常の歯に分けられ、歯周病で抜歯となる場合がとても多いと言われています。画像で示すと、

上図の様になります。ですが、場合によっては歯を残すことも出来ます。平野歯科医院ではこういった病態が進行してしまっている歯でも抜かずに残していることは少なくありません。手段は様々ありますが一部を紹介すると、①矯正装置を使って、根だけになった歯を引っ張り出す。②図1のように、骨の少なくなった奥歯を歯ブラシができる様に根の股で半分にする。③程度にもよりますが骨のなくなったところに再生治療をする(外科治療を伴う)。

④入れ歯の下で機能させることで安定しやすくさせる。⑤症状が安定していれば定期的に消毒をし、経過を観察する。など他にもいろいろな方法があります。

 しかし抜歯した方が隣の歯に影響が及ばないで済んだりするケースも有り、一概に残せばいいというわけでは有りません。歯を残すことにはメリット・デメリットがあり歯を抜くことにもメリット・デメリットがあります。平野歯科医院ではそれを総合的に判断し、患者様にとって何が一番いいのかを考え、治療を行なっています。

何か御座いましたら気兼ねなく歯科医師にご相談ください。

H.T

 

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