院内新聞「多歯言」<第36号>

院内新聞「多歯言」<第36号>

 

歯周病とは

歯周病とは細菌の感染によって歯肉に炎症が起き、歯を支える骨が溶かされていく病気です。
歯と歯肉の境目の清掃が充分でないとそこに多くの細菌が停滞し、この細菌が出す毒素によって歯肉が赤くなったり腫れたり出血するなど、炎症を起こします。この状態が進行していくと歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなり、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収してしまうため、歯肉が下がってきたり、歯がグラグラしたり、抜け落ちたりする場合もあります。

以下の項目でセルフチェックをしてみましょう。
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
□ ブラッシング時に出血する。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がむずがゆい、痛い。
□ 歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
□ かたい物が噛みにくい。
□ 歯が長くなったような気がする。
□ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間ができた。食べ物が挟まる。

*上記の項目3つ以上あてはまる:油断は禁物です。

ご自分および歯医者で予防するように努めましょう。
*上記の項目6つ以上あてはまる:歯周病が進行している可能性があります。
*上記の項目全てあてはまる:歯周病の症状がかなり進んでいます。
(日本臨床歯周病学会 http://www.jacp.net/jacp_web/general/about.htmlより)

セルフチェックにより自分の状態を知ると同時に、必要に応じて歯周病の予防、 治療を受けるためにも定期的にリコールチェックを受けましょう。

I.A

 

洗口剤のあれこれ

洗口剤には化粧品と医薬部外品があります。洗口剤の基本的な成分(水、溶剤・エタノール、湿潤剤、香味剤、保存剤、着色剤など)のみのものは化粧品に分類され、基本的な成分の他に薬用成分を含んだものが医薬部外品に分類されます。

化粧品の洗口剤はお口の爽快感保持や口臭予防等の働きがあり、医薬部外品の洗口剤は含まれる薬用成分により虫歯予防・歯肉炎予防・出血予防・口臭予防・殺菌等の様々な効果が期待されます。ただし、洗口剤では歯垢を落とすことはできません。 しっかり歯磨きをした後の仕上げとして使用するとよいでしょう。また、商品により使用方法が違うため説明書をよく読んでからご使用ください。

下記に医薬部外品の代表的なものを挙げますので参考にしてください。

★コンクールF

グルコン酸クロルヘキシジン(殺菌)

グリチルリチン酸アンモニウム(抗炎症)

※稀にアレルギーを起こすことがある

 

図1

 

★イソジン

ポビドンヨード(殺菌)

※ヨードアレルギーの方は注意

図2

 

★薬用リステリン

1,8-シオネール(殺菌・防腐)

チモール(殺菌)

サリチル酸メチル(消炎)

ℓ-メントール(防腐・消炎)

図3

 

★モンダミンメディカルケア

セチルピリジニウム塩化物水和物(殺菌)

グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)

トラネキサム酸(出血予防)

図4

 

★ガムデンタルリンスナイトケア

塩化セチルピリジニウム(殺菌)

トラネキサム酸(出血予防)

その他、低刺激のノンアルコールタイプもあります。

図5

 

K.N

 

タヌキ顔とキツネ顔

人には骨格的な個人差があり、これを把握し治療を進めることは歯科治療において重要です。

これを診断する方法の一つとして側貌(そくぼう)セファログラムがあり、一般的に矯正診断をするときにはこの診断を行います。セファロ診断を用いるとドリコ(面長、キツネ顔)とブレーキー(丸顔、タヌキ顔)とメジオ(中間型)に分類することができ、ドリコは噛む力は弱い傾向があり、ブレーキーは噛む力が強い傾向があるなど、治療介入時に注意しなければならないことなどがみえてきます。

平野歯科では矯正の診断時はもちろん、下アゴのずれた方や重度の歯周病の方など全体的に治療が必要であると考えられる場合、セファロを診断し上下の顎の関係を把握した上で治療方針を決定し、予後の予測をおこなっています。

T.Y

 

 

歯の再生の現在(いま)

医療の発展は目覚しいものがありますが、特に再生医療は日進月歩で進歩しています。2012年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞したことは記憶に新しい事ですが、歯科の分野ではどうでしょうか。

1980年代から歯周組織再生療法は行われていましたが、これは歯自体の再生ではなく、歯の周りの組織(歯周組織)の再生であり、従来から歯のような複雑で立体的な構造の器官を再生させることは難しいと考えられていました。しかし2006年、世界に先駆けて東京理科大学の辻孝教授(再生医工学)らがマウスを使った実験で、歯の抜けてしまったところに新しい歯を再生させることに成功しました。

また2010年には日本歯科大学新潟生命歯学部の研究チームが、歯の一部を使って歯を再生する培養方法の開発に成功しました。

このように歯科においても再生医療は進歩していますが、歯を完全に再生させ、口の中で機能させるにはもう少し先になりそうです。ご自身の歯で一生を送っていただくためにもリコールチェックを続けましょう。

H.N

 

 

「平野歯科135周年記念式典に参加して」

 

平成26年平野歯科医院は創設135年を迎えました。10月5日には平塚のホテル

サンライフにて135周年記念式典が開催されました。当日は台風の影響による悪天候にもかかわらず多くの方々にご参加いただきました。今回の式典においては、4代目院長J先生の歯科医師としての歩みを中心に平野歯科の歴史を振り返りました。

式典中には平野歯科ヒストリービデオやマグロの解体ショーなど催し物も盛り上がり、盛況の中無事に終了することができました。今回の式典では平野歯科に縁のある著名な歯科医師の方々もご出席いただき、お言葉もいただくことができました。平野歯科5代目世代の自分といたしましてはとても身の引き締まる思いになりました。

今後も平野歯科に通っていただいている患者様のために新しい医療機器、新しい歯科医療技術を導入し、技術のみの追求だけでなく、口の中だけにとどまらず人間有在な最良の歯科医療を実践するという信念を忘れることなく診療を続けさせて頂きたいと思います。

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