院内新聞「多歯言」<第40号>

院内新聞「多歯言」<第40号>

アメリカ歯周病学会に参加して

2016年9月9日~13日までアメリカのサンディエゴにてアメリカ歯周病学会(AAP)が開催され、H.J院長と共に参加してきました。

アメリカ歯周病学会はアメリカの歯科医師を中心に世界中の著名な歯科医師が集まり開催される国際的な歯周病学会です。また今年で開催が102回になるとても歴史のある学会であり、今回は特に日本臨床歯周病学会(JACP)と日本歯周病学会(JSP)との共催ということで日本からも多くの歯科医師が参加し、発表を行っていました。

H.J院長も歯周病治療に関して長期的に安定した経過を追ったポスター発表を行いました。様々な歯科医師の先生方とディスカッションを行いました。

学会では、日本・アメリカ両国の著名な歯科医師の講演も多く、その内容は、進行した歯周病に対する治療法(再生療法・外科療法など)、抜かなければならない歯とは どういうものなのか、インプラントと歯周病との関係などの講演があり、歯周病に対する様々な治療法を勉強することができました。

また企業の展示ブースもあり、再生医療に関する材料・ジルコニア製インプラントなどの最新の歯科材料についての情報も得ることができました。

今回の学会で学んだことを日々の診療に活かして患者様にしっかりと還元できるように精進したいと思います。

H.T

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高齢者にまつわる口の事

高齢者に起こりうる「5大疾病」という言葉をご存じでしょうか?

悪性新生物(ガン)、脳血管疾患(脳卒中)、虚血性心疾患(急性心筋梗塞)、糖尿病、精神疾患です。これら5つの疾患は、口腔内に大きな影響を及ぼすことがあります。

ガンは抗ガン剤治療や放射線治療に伴い口腔粘膜などの合併症を発症します。脳卒中に罹患すると口腔機能が障害され摂食嚥下機能や味覚などの感覚機能障害が発生します。急性心筋梗塞については、歯周病との関連が明らかになっています。糖尿病と歯周病との相互関係も明らかであり、精神疾患についても向精神薬の副作用による唾液分泌の低下、食行動異常、無気力、無関心による口腔内状態の悪化が起こります。

5大疾病に共通する主な症状である口腔乾燥の対応策は水分摂取量を確認し、唾液腺マッサージや口腔周囲筋の運動を行い保湿剤の塗布などを推奨します。さらに発症しやすい症状として嚥下障害(むせ)の対応策には、胸郭可動域訓練や開口訓練などがあります。そして、麻痺のある場合の口腔ケアとして電動歯ブラシやハブラシのグリップを太くする等、無理なく継続できる方法を選択していきます。更に介護における口腔ケアで気を付けたいことは、誤嚥を防ぐ為にできるだけ座位に近い姿勢を保つ事が大切です。患者様の周りの高齢者の方で口腔ケアに不安がある場合は、スタッフにお尋ねください。

I.M

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体からのサイン、口内炎!

食事をしている時に「痛いっ!」と思って口の中を見ると口内炎ができていたことはありませんか?口内炎とは、口の中やその周りの粘膜に起こる炎症の事を言います。
口内炎の原因はさまざまですが、一般的に最も多く見られるのが「アフタ(潰瘍)性口内炎」と言われるものでその原因ははっきり特定されていませんが、疲労やストレスによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足(特にビタミン)などが考えられています。他にも口の中を噛んでしまったり、入れ歯や矯正器具が接触する、また口腔内が不衛生であったり、熱湯や薬品の刺激などが原因となってできる「カタル性口内炎」や、ウイルスに感染することによって起こる「ウイルス性口内炎」などがあります。
もし口内炎ができてしまったら、まず休養を取り、睡眠、バランスの良い食事で免疫力を高める事が大切です。そして歯磨き、うがいで口の中を清潔に保ち、入れ歯や矯正装置等が当たっていたり、 約2週間経っても治らない口内炎がありましたら、歯科医院で診てもらうようにしましょう。

I.A

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乳歯と永久歯の違い

今回は乳歯と永久歯の違いについてお話したいと思います。

まず色の違いです。乳歯と永久歯では同じ白色に見えますが、実は良く見ると白さにも違いがあります。乳歯は青みがかった白色をしているのに対し、永久歯はクリーム色の様な白色をしています。

次に形の違いです。乳歯は永久歯に比べて、大きさが小さく、長さが短いという特徴があり、小ぶりで可愛らしい形をしています。また、上下の前歯6本は永久歯と似た形をしていますが、奥の2本は永久歯とは違う形をしています。

乳歯は永久歯と比べると、溝が複雑で汚れもたまりやすいためムシ歯になりやすく、さらにエナメル質が軟らかく薄いためムシ歯の進行が速いので注意が必要です。その溝に樹脂を流して固めるシーラントでムシ歯予防も有効です。その為にも定期健診でしっかりチェックしてもらいましょう。

また、先天的に永久歯がなかったり、永久歯が本来とは違う場所に埋まっている等の理由で成人してからも乳歯が残っている場合も珍しくありません。

お子様の乳歯を取っておいて標本にすることもできますので、詳しくはスタッフにお尋ねください。

A.R

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体に優しい材料 MTA

皆さん、MTAという材料をご存知でしょうか?MTA(Mineral Torioxide Aggregate)とは、ポルトランドセメントいわゆる土木建築用セメントを歯科用に改良した無機生体材料のことを言います。この製品は、 アメリカでは既に20年近く使用されており、日本では2007年から臨床にて使用されています。このMTAには、歯科治療において多くの有用性があるので説明させていただきます。

MTAの優れているところを挙げると、①良好な生体との親和性、②高い封鎖性、③アルカリ性に基づく抗菌性、④高い親水性、さらに⑤硬組織の形成を伴う治癒の誘導などがあります。一方で、操作性、硬化時間、色調に改良の余地があった為、近年は新製品の開発が世界的に活発となっています。

これらの優れた点がどのように歯科治療に用いられているかと言いますと、①ムシ歯や外傷で神経が出てしまった場合に対して神経の保存、②歯の中に出来た穴を封鎖すること、③外科的な根管治療で先端を封鎖する材料、④神経の死んでしまった歯根未完成歯の封鎖、といった対応が困難な場合にも、高い治療効果が出ています。しかしまだMTAが登場してから日が浅いため、今後さらなる研究が必要とされています。

MTAは、平野歯科医院でも用意はございますが、適応症が限られている点、保険適用外である点からどの患者様にも使用している訳ではございませんのでご了承ください。ご不明な点は、担当歯科医師までお尋ねください。

M.K

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