院内新聞「多歯言」<第37号>

院内新聞「多歯言」<第37号>

 

検査の重要性

歯科医院では様々な検査を行いますが、その中でも代表的な検査を以下に 挙げます。

①口の中の写真を撮る検査

②X線フィルムを使って部位別に細かくみる14枚法

上下の歯・骨・顎関節などをみるパノラマX線写真

③上下の歯の型とりをし、出来上がった模型をみる検査

④歯周病の状態を把握する歯周検査

⑤更に詳細な診断が必要な場合のCTによる診査

どうしてこのような検査を行うのでしょうか。

次に検査をすることによる利点を挙げます。

①患者様の抱える問題点をリストアップできる

②患者様自身が自分の口腔内を把握できる

③初診時と治療終了時を比較することができる

④セカンドオピニオンを求める時の資料になる

検査をする事によって患者様の問題点に対し、確実な診断をする事が可能と なり治療へと移る事が出来ます。

主訴(悩み)を解決する治療のみでは、他の問題を見逃してしまい、時間の経過と共に痛みなどが生じる、このようにその場しのぎの治療になってしまうことも あります。

口腔内の問題の多くは自覚症状なしに進行することもありますので、検査をし、口腔内を把握することは健康を守る最大のカギとなります。

H.T

 

2人で来院しましょう

 

乳歯は生後6ヶ月頃から萌え始め、3歳頃に萌え揃います。では乳歯はいつからつくられているかご存知ですか。実はお母さんのお腹にいる時から形成され始めます。お母さんの摂る栄養をもとにして形成されるので、丈夫な歯を作るためにはバランスの良い食事が大切です。

また産まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはほとんどムシ歯菌はいません。お母さんや周りの大人から、食器などを介して菌が移ります。完全に防ぐ事は難しいので赤ちゃんもお母さんも、そして周りの人々もお口のケアが必要です。

そして歯周病も胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに感染する事があります。重度の歯周病になると、子宮収縮を起こして早産になるとも言われています。

出産すると、しばらくの間は赤ちゃん中心の生活となり、なかなか自分のために歯科医院の受診は難しくなります。安定期に入ったら、お腹の中の赤ちゃんと一緒に歯科医院を受診しましょう。

S.T

 

 

離乳食の役割と重要性

 

赤ちゃんのお口の中に指を入れてみたことがありますか?

赤ちゃんのお口に指を入れると、唇と舌をすぼめるようにして吸いつき飲み込もうとします。これを「乳児嚥下」と言います。

そして離乳食が始まり乳歯が生えてくると、唇をしっかり閉じて舌は歯の裏側に接しながら食べ物を飲み込むようになります。

これを「成人嚥下」と言います。

この成人嚥下が正常に出来ていないと、歯列不正の原因や、食べ物の丸のみ、言語の発達にも影響を及ぼし、果ては老人になってからの気管に異物が入ることによって起こる誤嚥、これによる肺炎も起こしやすくなります。

正しい成人嚥下は、離乳食を通じて獲得していきます。そのため離乳食を始める時期や食物の大きさ、硬さ、あげ方が非常に重要になってくるのです。

離乳初期は、ドロ状~ベタ状のものを口を閉じてゴックンと飲み込みます。この時、舌は前後に動かします。

中期では、モグモグして舌で押しつぶして食べます。この時、舌は上下に動かします。

後期は、カミカミして歯ぐきで潰して食べます。この時、舌は左右に動きます。この時期から、噛むこと(咀嚼)の練習を始めます。

そして最後、手づかみ食べをさせることが大事です。

食べ物を口に持っていく動作は、手づかみ食べから学んでいきます。

手づかみすることにより、食べ物の形や硬さ、温度、口に入れる適量などを学習します。

このように離乳期には、それぞれ段階的に習得するものがあるためその子に合ったペースでゆっくり進めていくことをお勧めします。

A.N

 

歯の神経の再生能力

近年、医学の分野において再生治療が話題となり、その中でも、乳歯や親知らずから採取した『歯髄幹細胞』を用いた治療の研究が注目を集めています。

『歯髄幹細胞』とは、歯の神経にある細胞で、細胞の数が増えやすく、他の細胞へと変化しやすいという特徴があります。再生医療において以前は骨髄幹細胞を用いていましたが、歯髄幹細胞は骨髄幹細胞よりも優れている点があることがわかってきました。

臨床実験では歯髄幹細胞を用いて、「歩けないラットが歩行可能になる」ことや「イヌの歯の再生させる」ことが確認され、将来的にはヒトの歯を再生させたり、全身疾患に対しての治療も期待されています。

再生療法の研究は日々行われております。しかし実現にはまだ時間がかかると考えられています。再生療法への期待をしながらも、皆さんへは今ある自分の歯を大切にすることを第一に考えて頂きたいと考えています。

 

M.K

 

 

 

X線の被曝量

患者様の中にはCTやレントゲン撮影の際の被曝量を心配される方も多いのではないでしょうか。

実は、私たちは普段生活している間に自然界からの自然放射線で微量ながら被曝しています。

その量は、年間で平均約1.5~2.4ミリシーベルトと言われていますが、歯科のデジタルレントゲン撮影の1枚の放射線被曝量は、約0.01ミリシーベルト、全体的なパノラマレントゲン撮影でも、約0.03ミリシーベルト、歯科用CTでも約0.1ミリシーベルトととても少ない値で自然放射線の量と比較しても、非常に微量です。

X線撮影をする際には鉛(X線を透過しない)が入っている防護エプロンを着用して頂きますので、被曝線量を限りなくゼロ近づけることができます。

歯科治療には欠かすことができない検査ですので、安心して検査を受けて頂きたいと考えています。

 

S.M

 

飲食物のpH(ペーハー)

pHとは水溶液の性質、酸性・アルカリ性の程度を表す指数で、pH7を中性として数値がそれより大きければアルカリ性、それより小さければ酸性を表します。もちろん飲み物、食べ物にもpH値があり、すっぱいものはpHが低く、酸性といえます。

歯を溶かす飲食物というと砂糖を多く含む食品が思い浮かべられますが、実はその他にも注意するべきものがあります。それが酸性の食品です。

お口の中は普段pH6.8程度でほぼ中性ですが、飲食後などは酸性に傾きpH5.5未満になると歯のエナメル質が溶け始めます。酸性の強い飲食物はお口の中をより酸性にするため、量や取り方に注意が必要です。過剰な摂取や習慣的な摂取は控えたほうが良いでしょう。ただし酸性の食品には体に良いものもたくさんあります。決して摂取することが悪いことではありませんし、摂取したからといってすぐに歯が溶けて穴があくわけではありません。なぜならお口の中の唾液には酸性に傾いた環境を中和する働きや歯のエナメル質を修復する働き〈再石灰化〉があるからです。ただしもとのpHに戻るには40分ほどかかるとされ、その間にまた飲食するといつまでも中和されず酸性のままの状態が続き、歯が溶け出してしまう〈脱灰〉恐れがあります。間食のだらだら食べや飲みは要注意です。

そして飲食後はお口のケアを忘れずにしましょう。歯磨き粉をたっぷりつけてゴシゴシ磨いてしまうと歯を傷つけるので注意してください。外出先などでケアできないような場合はうがいをしたり、飲食後にお水やお茶を飲むだけでも歯をまもることができます。

K.Y

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