院内新聞「多歯言」<第33号>

院内新聞「多歯言」<第33号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:2013年6月4日
HP:http://www.hiranodental.com

ムシ歯のひろがり方

ムシ歯はどのように大きくなっていくのでしょう?ムシ歯のひろがり方は歯の硬い部分(歯の硬い部分は①歯の見えている部分の表面【エナメル質】②歯の内部で神経を守る【象牙質】の2つに分けられます)のどの部分がムシ歯になっているか、歯のどの場所からムシ歯が始まるかで異なってきます。
エナメル質では結晶構造に沿ってムシ歯がひろがり、特徴のある円錐形となります。歯の平らな面から始まったムシ歯では、円錐の底面をエナメル質表層におき、先端を象牙質に向けた形になりますが、歯にある溝から始まったムシ歯では溝を先端にし、象牙質とエナメル質の境目が底面となります。一度エナメル質と象牙質の境目にムシ歯が到達してしまうと横にムシ歯がどんどんひろがっていきます。
エナメル質のみのムシ歯では歯の白濁や着色はあるものの、痛みはありませんが、ムシ歯が象牙質まで到達すると、甘いものや冷たいものがしみるようになり、歯の色が茶色や黒に変わるので、多くの方がムシ歯に気付きます
エナメル質の表層は常に再石灰化をしているため、表面がムシ歯になっていないように見えても、一度エナメル質と象牙質の境目までムシ歯が到達していて内部で大きなムシ歯がひろがっていることもありますので、定期的にチェックを受けるようにしましょう。

H.T

全身状態と歯科治療

歯科治療を行うときには、様々な材料を使用し必要な場合には麻酔をかけて治療します。またその時、お口の中の治療は全身状態に影響を受け、反対に全身状態に影響を与えることもあります。ですから全身の状態を知ることは歯科治療を行う上で大変重要になります。 どのような検査項目に注意が必要なのでしょう。代表的な項目を以下に挙げます。
関係のある主な検査項目
血圧(高ければ外科時などに出血しやすい、麻酔に注意が必要)
赤血球(酸素を運ぶ、貧血に関係)
白血球(免疫、低ければ感染しやすい)
血小板(血液サラサラ、出血の止まりにくさに関係)
ヘモグロビンA1C(糖尿病の程度をあらわす)
肝臓、腎臓のデータ(薬の作用、代謝に関係)
皆さんは会社や学校で健康診断を受けたことがあると思いますが、健康診断を受けた際には診査結果をお持ちいただき、歯科治療を行う際に参考にさせていただいています。
口は全身の一部であり体をつくる材料や日々の生活を送るために必要な栄養の入り口、いわば玄関です。玄関はいつもきれいにしておきたいですね。

T.Y

睡眠時無呼吸症候群治療器具~スリープスプリント~

スリープスプリントとは、口の中に装着することによって気道を確保する装置の名称で、睡眠時無呼吸症候群の歯科的な治療器具です。
いびきは、寝ているときに気道がなんらかの理由で狭められたときに起きますが、その原因の一つに舌が喉の奥に沈み込むことが挙げられます。睡眠時にスリープスプリントを装着し、下顎を前に引きだし固定することによって舌が喉の奥に沈み込むことを防ぎ、気道が確保され上気道の閉塞を防ぐ効果があります。また、スリープスプリントを装着すると、上下のあごの位置が固定されるので、自然に口を閉じて眠ることができるようになり、口の中の乾燥 も防ぐことができます。
夜間、寝るときに口に装着するだけなので、個人差はありますが比較的簡便ですぐに治療を始めることができます。また口に入る大きさですから携帯にも便利です。 ただしこの装置が適応にならない場合があります。それは、ご自分の歯が20本未満の方や重度の歯周病の方、顎が前方に8㎜以上移動できない方、顎関節に異常のある方、鼻づまりがひどく鼻呼吸ができない方、寝つきが悪く神経質の方、扁桃腺の肥大が著しい方や口蓋垂(のどちんこ)の大きい方、18歳未満の方などが挙げられます。
睡眠呼吸障害といっても、軽症なものから命にかかわるような重症な場合もあります。閉塞型睡眠時無呼吸症の疑いがある方は、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、精神科で睡眠検査を行い、よく相談をしてスリープスプリント療法をおこなうようにしましょう。

 

リコールチェックとは

ひらの歯科医院に来院している患者様はリコールチェックという言葉を耳にしたことがあると思います。
リコールチェックとはどういうことでしょうか。 リコールチェックとはリ(再び)コール(来院し)チェック(チェックをする)ということであり、一度お口の中のチェック、治療、予防処置が終わった患者様が、一定の期間ののちに再びチェックを受けるということをあらわしています。 またこのリコールチェックにおいては、以下に挙げる口腔管理のうち必要な項目の診査を行い、セルフケアの自立を目指します。
1.レントゲン撮影
2.口腔内写真撮影
  3.口腔内観察記録
4.ムシ歯のチェック
5.歯周組織検査
6.小帯、粘膜、舌のチェック
7.咬み合わせのチェック
8.全身疾患、服用薬、喫煙
、 環境の変化等生活のチェック
9.歯石除去
10.ブラッシング指導
11.シーラント
12.フッ素塗布
13.MFT(口腔周囲筋のトレーニング)
14.細菌検査
以上の項目を診査し予防処置を行う繰り返しが患者様自身の大事な記録となります。治療が必要な時期にはその記録を参考に再度評価し、個人差を把握したうえで最善の治療に取り組みます。
ムシ歯、歯周病は慢性疾患であり、ご自身でその進行に気づくことは難しい疾患です。リコールチェックを繰り返すことによって最小限の治療、予防を行い、一生ご自分の歯で過ごしていただきたいと考えています。

 

歯周外科とその適応症

歯周病は、ご自身によるブラッシングや衛生士が行う歯石除去、ドクターが行う咬み合わせの調整など、基本的な治療で多くの場合には良好化し、症状は安定します。しかし、中等度や重度の歯周病になると、基本的な治療を行っても、炎症が沈静化せず、深い歯周ポケットが残る事があります。そのままにしておくと、歯周病の進行を食い止めることが難しい、そういった場合に行うのが歯周外科です。
歯周外科を行うことによって、清掃器具の届かない深い歯周ポケットが浅くなり、歯の周りの組織の形が変わることによって、ご自身でのブラッシングが行いやすくなります。また、プラークが付着しにくい環境をつくり、炎症がおこりづらい歯周組織を獲得することができます。
しかし、歯周外科をおこなうためにはいくつかの条件があります。まず、正確な検査、診断による外科治療の説明が行われ本人の同意が得られている事、全身の状態が良い事、口の中の清掃状態が良好に保たれている事、そして喫煙がコントロールされている事などです。そして歯周外科後には定期的なメインテナンスとご本人のブラッシングが最重要になります。
日々の臨床では、初めての診断時には歯周外科が必要であると思われる患者様でも、ご本人のブラッシングに助けられ、実際には歯周外科を行わなくても症状が良くなる患者様も多くいらっしゃいます。皆様ブラッシングをしっかり行い歯周外科をしなくてもよいお口を目指しましょう。

Y.N

歯の色とブリーチングについて

 歯は口の中に萌えてから口腔内の環境にさらされることによって、表面に着色したり、エナメル質の結晶のあいだにまで色素がしみ込んだり、歯の神経を失うことによって変色したりします。
表面の着色は、歯石を取ったり、歯を機械で磨いたりする事で改善することができますが、本来の透明感のある白く美しい歯にもどすためには、薬剤を使用してしみ込んでしまった色素を分解し無色化するブリーチングという治療が有効です。
ひらの歯科医院では安全性を考慮に入れ、以下の方法を採用しています。
1)ホームホワイトニング
患者様自身がカスタムトレーと薬剤を用いて自宅で行う治療です。歯科医院には、最初にカスタムトレーを作るための型取りに、二回目には作製されたカスタムトレーを使って口腔内に装着する練習をしていただくために来院してもらいます。その後は自宅で治療を続けていただき、時々メンテナンスのために来院していただきます。歯科医院での治療はいずれも短時間で済みます。
2)ウォーキングブリーチ
大きなムシ歯で神経の治療をしたり、事故で歯をぶつけたりすることで歯の神経を失うと、歯は本来の色を失い黒く変色する場合があります。このような場合には歯科医院にて歯の裏側に穴をあけ、機械的に歯の内部の汚れを取り除いた後に歯の内部(神経の入っていた空間:歯髄腔)に薬剤を注入しふたをします。そして数週にわたって1週間ごとに薬剤を交換し、歯の内部から歯を白くします。
ブリーチングを行うと術後一時的に知覚過敏様症状が出ることもありますが、必ず症状は軽減します。
歯の色は白くだれでもみな同じ色と誤解されている方も多いと思いますが、歯の色は人それぞれです。気になる方はスタッフにご自身の歯の色を聞いてみて下さい。

M.K

あとがき

多歯言33号はいかがでしたか
お口の中の病気歯周病は全身の病気に影響をしあう事が判明してきています
お口の健康管理をさせていただくことによって全身の健康増進に寄与できたらと 考えております

新聞委員

2013年4月から平野歯科医院の5代目に当たるH.T先生が平野歯科医院にて診療をさせていただくことになりました。
宜しくお願い致します。はじめまして、H.Tです。
4月よりひらの歯科で働かせて頂いています。
まだまだ右も左も分からぬ若輩者ではございますが一生懸命精進していく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします
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