院内新聞「多歯言」<第31号>

院内新聞「多歯言」<第31号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:2012年6月4日
HP:http://www.hiranodental.com

薬を使わないPDT・レーザーによる歯周病治療~ペリオウェイブ~

今や25歳以上の約80%の人が歯周病と言われています。歯周病は歯肉や歯を支える骨に大きなダメージを与えるため進行すると歯が抜け落ちてしまうという話は聞いたことがあると思います。この歯周病の原因として第一に挙げられるのは口の中の細菌です。口の中には約500種類以上の細菌が生息し、その中の数種類の菌が炎症を引き起こし歯周病を進行させます。従来、歯周病菌に対する処置法は抗生物質の投与が一般的でした。しかし、抗生物質は細菌に対し非常に有効ですが、長期使用により耐性菌が産生され、あまり効かなくなってしまうこともあります。
当医院ではPDT治療に『ペリオウェイブ』システムを取り入れました。PDT(photo dynamic therapy)は光線力学療法と呼ばれるもので、薬を使わない光による殺菌システムです。バイオジェルと呼ばれる染色液で歯周病菌を染めます。このバイオジェルは光感受性物質であり、光を吸収すると化学反応が起こり活性酸素が大量に発生します。この生体に安全な活性酸素によって歯周病菌を殺菌します。PDT治療の特徴として、①薬を一切使用しない②耐性菌が発生しない③副作用が起こりにくい④痛みを伴わない⑤手軽に何回でも処置できることなどが挙げられます。耐性菌を保有している方、頻繁に抗生物質を使用している方、妊婦、全身疾患や薬剤アレルギーのある方にも適応できます。また、インプラント周囲炎、口内炎にも効果があります。

安藤 美紀


▲深い歯周ポケットへの照射


▲膿瘍(うみの袋)への照射

えー?やだーこんなの!見本じゃないの?

「ここは歯科医院ではありません。入れ歯やさんです。」
さりげない添乗員の言葉。
「ケースの中は売り物の入れ歯です。」
モロッコは夜のマラッケシュの市場の中。
「えーー?入れ歯って売ってんの?ウッソーー!」
「キモチ悪いじゃん。」
「嵌めてみなきゃ合うかどうかわかんないじゃん。合わなかったら戻してそれ又うるの?。」
「何か不潔っぽくない?。」
「それって気持ち悪りーよ。」喧々諤々。
心の内はやじ馬根性でワクワク・ニヤニヤ。
モロッコの案内書には(入れ歯売りがいる)と書いてありました。
私は子供のころから入れ歯を作って貰っており、売られているなんて思ってもみませんでしたので大変驚きました。今は部分入れ歯で。ここの平野歯科医院で丁寧につくって頂きケアも怠りなくチェックしているので全く安心です。もしモロッコのようなコンビニ売りの入れ歯だったら私は血圧が上がってしまうことでしょう。

次のサハラ砂漠でラクダの背に揺られサンライズを楽しみ、古都フエズの入り組んだ迷路でぎっしりと並んだ衣類や食肉、革製品とその加工場の強烈な匂い、手に持たされたハーブの意味を納得した訳です。異国情緒にどっぷり浸り、大西洋のサンセットに沈黙です。遺跡でのトイレの長い行列、観光客のお零れの隙間を擦り抜ける美人の猫・猫・ねこ。
帰国後、リコールで院長に会ったときモロッコのことを話したら「入れ歯売ってたでしょう。」と聞かれ絶句。「だって有名だよ。歯科医だったら皆しってるよ」
しばらくして朧げながら夜のマラケッシュ観光を思い出しました。デジカメをチェックして件の物を発見。ありました。そして、入れ歯屋の看板と陳列ケースの前でやり取りを思い出したのです。
昔、突貫工事で入れ歯をつくって頂いた歯科医の娘さん(七十代)に話しました大笑いされました。日本では竹で作った入れ歯があったと父上からきいたことがあると伺いました。
アンモナイトが欲しい・サハラ砂漠を歩きたい・タジンナベの料理を味わいたい等々モロッコまで揺々出掛けましたが、今では入れ歯が売られていたことが一番の思い出です。

一患者 小川 あぐり

ご寄稿ありがとうございます。世界の治療には様々な方法があります。しかし自分の歯が一番大事であるということは世界共通です。これからもご自身の歯を大事にしてください。
院長より

歯を失う一番の原因は?

このレントゲン写真を見て何か気付くことはあるでしょうか。見慣れていない方でも、まず気付くのは歯の横に写る黒い溝(↑)ではないでしょうか。これは「歯周病」で顎の骨がなくなる「骨吸収」を起こした状態のものです。歯科医師や歯科衛生士から「歯周病により骨が無くなっている(溶けている)」、「ムシ歯菌や歯周病菌を落とすために歯磨きをしっかりしましょう」と聞くと、歯周病菌という細菌が骨を溶かしていると想像すると思います。しかし実際には、自分の体の免疫反応によって骨吸収は起きているのです。歯周病菌の一部は歯のまわりの組織に直接侵入してきます。また、歯周病菌由来の色々な物質も入り込んで来ます。それらの異物に対し、体の中にある好中球・マクロファージ・リンパ球、といった免疫物質が反応し、歯周組織を破壊する物質が放出されます。これらの結果、歯周組織の破壊、つまり「骨吸収」が起こるのです。

歯周病と診断されたら、原因である歯周病菌を取り除き、歯周病菌が住みにくい口腔環境をつくることが必要です。このための手助けとして、歯科医院での定期検診、クリーニング、治療を受けるようにしましょう。

古澤 樹里

インプラント

インプラントは、失った歯のかわりに顎の骨に金属(チタン)を埋め込み、その上に人工の歯を取りつける治療法です。ブリッジのように失った歯の隣にある健全な歯を削ることはなく、顎の骨にしっかり固定することで入れ歯のような違和感や異物感もほとんどありません。そして見た目がより天然の歯に近いなどの利点が挙げられます。しかしその反面、外科手術による侵襲が大きいこと、治療期間が長くかかること、費用の負担が大きいことなど治療前に理解しておかなければならないことが多くあります。また誰もが治療に適しているわけではなく、成長過程にあるお子さんや重度の全身疾患をお持ちの方は治療に適しているとは言えません。他にもインプラントを安定させるための顎の骨の質や量は十分であるか、口腔内の衛生状態をきちんとコントロールすることができるかなど留意する必要があります。
また歯周病や咬み合わせの問題、ムシ歯などといった歯を失う原因を前もって治療しておくことが必要です。それらをよく考慮し綿密な治療計画を立てることでインプラント治療は安全に行われます。そのためにも治療前には必ず担当医とよく相談してください。
そして治療後はトラブルを防ぎ、インプラントをより長持ちさせるためにもメインテナンスが不可欠です。ご自宅での歯磨きはもちろん、歯科医院でのクリーニングや定期健診は必ず受けるようにしましょう。

黒河内 良枝

子供のムシ歯予防~シーライト~

子供の歯のどこがムシ歯になりやすいかご存知ですか?萌えて間もない歯はまだ成熟していないため、ムシ歯になりやすい構造になっています。また、特に臼歯はギザギザした溝があり複雑な形をしているうえに、部分的に歯肉に被われている期間が長く、歯ブラシの毛先が届かず歯垢(細菌の集合体)を除去しにくい環境になっています。
シーラントは、ムシ歯になりやすい歯の溝をプラスチックで埋め、事前にムシ歯から歯を守ろうという方法です。歯の表面をきれいにし、歯は削らずにシーラント材で歯の溝を塞ぎます。またシーラントにはフッ素が含まれており、歯の質を強化する効果もあります。
シーラントはムシ歯予防の方法としては役立ちますが、あくまでもシーラント処理された部分にのみ効果が期待できますから、咬み合わせの部分がムシ歯から守られていても、それ以外、例えば歯と歯の間などには効果がありません。ですから毎日丁寧に歯磨きを行うことを心掛けて下さい。シーラントをするのに適した時期であるか、またシーラントが剥がれていないかなど、定期的にリコールチェックで診ていくことが大切です。

瀧 史緒里

善玉菌の代表、乳酸菌

乳酸菌はヨーグルトや乳酸飲料などの発酵乳製品、キムチや浅漬け、ピクルスなどの発酵植物製品などの発酵品全般に含まれており、私たちの腸にも棲息する菌です。そして、自然界の中で存在する無数の菌の中でも、私たちの体へ大切な働きをする健康に欠かせない菌の一つとなっています。
乳酸菌の定義は「乳糖やブドウ糖を分解して大量の乳酸を作る細菌の総称」とされ、人間の腸にとって良い働きをする善玉菌の代表格と言われています。また乳酸菌は人間と同じ栄養素を要求する生物で、一般的に炭水化物、たんぱく質、脂質、無機質、ビタミンの5大栄養素を必要としています。
免疫力を高めることによって病気にかかりにくい体になることは以前から知られていますが、様々な研究で、今では乳酸菌による体質改善が歯周病、アレルギー、アトピー、便秘、美容、ガン、高血圧など多くの症状に効果があるという報告もされています。
歯周病が乳酸菌によって治る日が来るかもしれませんね。

浅羽 玲花

あとがき

「多歯言」三十一号は いかがでしたか。

5月21日の金環日食は、あいにくの曇り空でしたが、観ることはできたでしょうか。
次回日本国内で観える金環日食は、30年後だそうです。

今回原稿を提供していただいた小川あぐり様、心から感謝いたします。
これからも患者様からのご意見ご感想をお待ちしております。

次回、第三十二号は 2012年11月7日の発行予定です。 お楽しみに

新聞委員 富樫裕一郎 阿竹幸子 湯川早香 伊藤高

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