院内新聞「多歯言」<第25号>

院内新聞「多歯言」<第25号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:2009年6月4日
HP:http://www.hiranodental.com

デンタルコンセプト21に参加して

Y.N

 私はH.J先生とともに2月18日から23日までハワイで行われたデンタルコンセプト21という勉強会に参加してきました。 この勉強会は特にインプラント(人口歯根)といわれる治療について力を入れており、今回は最新のインプラント治療について勉強してきました。
インプラントの起源は、スウェーデンのブローネマルク博士が 1952 年にチタンが骨と結合することを発見し、 1965 年に歯が一本も無くなってしまった顎の骨の中にチタン製の合金を埋め込み、それを土台として、人工的な歯を作るというものでした。今もそのコンセプトは変わっていません。
最新の治療法では、本来ならば歯肉を切り開いてインプラントを入れるところを、歯肉をはがすことなくインプラントを入れることができたり、歯を抜いた直後にインプラントを埋入することにより、患者さんへの負担の軽減することができる方法が出てきています。また、インプラントを埋入しその日のうちに噛めるようになる術式や、 全ての歯を失った方に 4 ~ 8 本のインプラントをバランスよく埋入し、その日のうちに理想的な仮の歯を固定する治療法である オールオン 4 という術式も存在します。
しかし、これらの術式はすべての症例に施術できるとは限りません。患者さん一人一人の現状を把握し、しっかりとした診査、診断を行った上で施術することがとても大切です。
いかに歯を抜かない、削らないひらの歯科でも歯の無い所に治療はできません。症例によっては周りの歯を守るためなど、インプラントを勧める場合もあります。このような勉強会で得た知識を患者さんに還元したいと考えています。

ひらの歯科医院 患者様への報告

K.N

患者様皆様にとってうれしい報告があります。
この度、院長であるH.Jが、日本臨床歯周病学会認定の歯周病専門医の資格に加え、さらに困難な指導医の資格を取得しました。これは患者様に対する治療が、より高度で専門的な治療であると認められたという事です。
さらにもう一つの報告は、ひらの歯科医院が2008年に日本歯周病学会認定研修施設に認定され、医院にて働く歯科衛生士も日本臨床歯周病学会認定衛生士の資格を取得したことです。研修施設は大学以外の施設では日本の中で45施設しかなく、その中の1施設として認められました。歯周病は生活習慣病の一つと言われ、治療はもとより予防や治療後のメンテナンスが非常に重要な意味を持ちます。これらの大部分は歯科衛生士が担当するため、質の高い歯周病の治療には有能な歯科衛生士の育成が必要不可欠といえます。
この度の資格取得は、患者様皆様の協力とご理解、院長の歯科医療への情熱、スタッフの努力が重なり合った結果であると考えております。

口腔乾燥症とその対応

H.S

口腔乾燥症とは、唾液分泌量の減少による口腔内の異常な乾燥状態を示す症状名で、口が渇く、ねばねばする、しゃべりにくい、飲みこみにくい、味がわかりにくい、口の中や舌が痛い、ひりひりする、汚れやすい、口が臭い、入れ歯が装着しにくい、くちびるが切れるといった自覚症状があります。また、唾液の減少は口腔内の自浄作用が低下し、ムシ歯、歯周病、口腔カンジダ症が発生しやす、く悪化しやすい状態になります。

この原因には、以下のものが挙げられます。
①唾液腺の機能低下(加齢などによる)  ②服用薬による副作用
③全身状態に関係するもの(脱水症、下痢、糖尿病など)
④神経性(神経の障害、極度の緊張、自律神経障害など)

原因によって治療法は多少異なりますが、乾燥症状が改善するまでは、保湿剤入り洗口液、保湿ジェル、人工唾液などによる口腔内湿潤・乾燥症状の改善、リップクリームによる口唇の保湿などの対症療法が行われます。それと同時に口腔乾燥症に対する生活習慣指導として、高齢者ではのどの渇きの感覚が減退するので意識して少しずつ水分補給すること、よくうがいすること、野菜・果物など線維性の食品を摂りよくかむこと、砂糖の摂取を控えること、飲酒・喫煙・カフェインの摂取をひかえる指導を行っています。また、口腔乾燥で生じたムシ歯・歯周病・口腔カンジダ症は治療を行うとともに口腔粘膜清掃、入れ歯の清掃、歯みがきの指導、フッ素塗布を行ってリコールチェックにて再発予防に努めています。

認定歯科衛生士として

 

日本臨床歯周病学会(歯周治療の研鑽を通じて歯科臨床の向上に務め、もって国民の健康、福祉の増進に寄与することを目的としている学会)が認定する歯科衛生士の専門資格、日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士制度が昨年2008年4月1日に発足されました。
私たち、ひらの歯科医院の衛生士も、歯周病でお悩みの方、予防・治療を希望される患者様のさらなる力になりたいという考えのもと、先生方の指導により認定歯科衛生士という新しい資格を取得することができました。この資格に恥じないよう日々の努力を忘れず、精一杯頑張っていきたいと考えています。
歯周病は食習慣、ストレス、喫煙などによって悪化するため、生活習慣病とも言われ、また糖尿病、高血圧などの全身疾患とも関連があります。歯周病の早期発見、予防を行うことにより一生涯ご自身の歯で生活できるように、患者様に気付きを与え、サポートをしたいと思っております。

幼児の精神発達

S.T

子供を歯医者に連れていきたいけど怖がるのでは…と不安に感じる事があるかもしれません。人格の基礎が形づくられるのは幼児期で、個人差はありますが5歳頃までに成人に見られる主な感情(喜び、悲しみ、怒り、恐れなど)が発達するといわれています。
その中でも恐れは1歳で既に感じているので、歯科医院に来る子供達は、大きな恐怖を抱いているかもしれません。幼児はとっても敏感で純粋ですから、この大事な時期に嫌な体験をしてしまうと、歯医者は怖いというイメージを持ってしまいます。すると将来、もし治療が必要になった時、歯医者へ行くのを嫌がるようになってしまうかもしれません。ですから最初からいろいろな治療をやろうとはせず、まずは歯科医院独特の雰囲気に慣れていくことが大切です。
3歳ぐらいになると、内容を説明すると理解し、治療を受け入れてくれるようになります。この時もし嫌がる場合は、無理にやらないことが大事です。できる事から徐々に初めて、1つでもでき
たら褒めてあげる事で喜びを経験すると、さらに努力して目的を達成しようとするようになります。もしできなかったとしても「今度がんばろうね」と声をかけてあげたりして根気強く励ましていきます。
このようにひらの歯科医院でも心の発達を考慮に入れて診療しており、それにはお父様、お母様の御協力も必要になってきますのでよろしくお願い致します。

乳歯のムシ歯

 

「乳歯はムシ歯になってもいずれ永久歯に萌え変わるから放っておいても大丈夫。」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、乳歯のムシ歯を放っておくと次に萌えてくる永久歯に問題が生じることもあります。
その問題点には、①永久歯の歯胚(歯の基となる種のようなもの)が傷つき、永久歯が変色する。②乳歯が動くことによって永久歯が萌えるスペースがなくなり、永久歯が変な場所に萌えてくる、など挙げることができます。また、乳歯のムシ歯は、永久歯のムシ歯に比べて進行が早く、痛みが出にくいため十分な注意が必要です。
このような乳歯のムシ歯を治療する際には、成人のムシ歯治療とは異なり、子供は性格や生活環境が多様である事を配慮し、通常行なわれている早期発見・早期治療を行なうのではなく、ムシ歯治療の介入方法と時期を慎重に決定し、治療を行なわなければなりません。このためには3ヶ月ごとのリコールチェックを軸とした、早期発見・早期観視をしていく事がポイントになります。そしてこれにより健康な口腔を獲得し、健やかな生活を送る事ができます。

情緒の分化

情緒は2歳までに著しい分化を遂げます。そして5歳頃までに、一通りの情緒が完成するといわれています。情緒は幼児期に分化するため、幼児期のうちに人格形成の基礎が築かれるといえます。

ページトップへ