院内新聞「多歯言」<第18号>

院内新聞「多歯言」<第18号>

発行:医療法人社団慈篤会 平野歯科医院
発刊日:2005年11月8日

フッ素

虫歯予防の一つにフッ素があげられます。萌出したての乳歯や永久歯は歯質がまだ弱く虫歯になりやすいです。また矯正装置が入っている方や、歯列不正の方は歯が磨きにくく、汚れが残りやすいです。フッ素には初期虫歯の進行抑制(再石灰化)や歯質を強くする作用があります。その方法としては歯科医院で行う、濃度の高いフッ素塗布と、ご家庭で行う濃度の低いフッ素塗布に分けられます。
当医院では窟の表面に直接フヅ化物を作用させ、歯質を強化する窟面塗布法を行っています。フッ素をトレー一に塗り3分間排唾をしながら咬んで行うトレー法や、小さなお子様には歯ブラシで塗布していきます。これは非常に効果的です。
フッ素の味もお子様が好きなぶどう味や、さっぱりしたミント味など選ぶことが出来ます。その後、洗口剤でうがいをし(飲む物ではありません)、塗布後一時間は飲食を控えます。ご家庭で行うフッ素は低濃度のホームジェルやフヅ素配合の歯磨剤挙どです。ホームジェルは夜寝る前の歯磨き後の歯ブラシに少量付け歯になじませるように一分間磨きます。その後、唾液を出すだけでうがいをせずおやすみになると効果的です。どちらも1~2回で効果が現れるのではなく、リコールで定期的に行ったり、ホームジェルやフッ素配合歯磨剤は毎日の継続塗布により効果が発揮されるので歯科医院での管理とご家庭でのセルフケアの両面から、歯を守っていくことが大切です。

DH K.N

 

乳歯の役割

「乳歯はいずれ永久窟に生えかわるから虫歯になっても大丈夫」などという考えを持っている人が少なからずいると思います。しかし子供は乳歯の萌出により徐々に食べる事ができるようになり、その後も子供の成長発育過程(乳歯列→混合窟列→永久歯列)において乳歯には心身の健康を維持する大事な役割があるのです。
永久歯と同様に、食物を咬んですりつぶすという役割。そして発音発声、口元の清潔感、表情の形成などの機能を持つ部分としても重要な役割を担っています。歯の咬み合わせが力の支点となり平衡感覚機能や運動能力にも影響を及ぼします。
さらに乳歯のみの役割として、乳歯の正しい歯並びは永久歯が正しく生える場所の確保をしてくれます。乳歯の虫歯を放置して・早い時期に窟が抜けてしまうと永久歯を正しい萌出位置に誘導することができず、歯並びが悪くなってしまいます。また、虫歯がない場合でも、顎の発育が不十分で永久歯の萌出するスペースがないこともあります。顎は咬むこと、飲むことにより発育するので乳歯の時期から歯応えのあるものを食べたり、よく咬んではつばで飲むなどのトレーニングをして備えていきましょう。乳歯より一周大きな歯に生え変わるのですから乳歯の歯並びは歯と歯の間に少し隙間があっても心配ありません。
こうして乳歯は子供の成長、発育とともに、お口の中が大人に成る為の準備をする大切な歯なのです。家庭での家族の協力と定期的なリコールチェックでしっかり管理していきましょう。少しぐらい虫歯ができてしまっても虫歯の痛みを知る良い経験の1つと考え、永久歯で痛い思いをしない為の予行練習とプラス思考で焦らずにいきましょう。
小さなお子様をお持ちの方をはじめ、今後の子育ての参考にしていただきたいと思います。

DH S.M

歯ブラシの管理と交換時期

歯ブラシは毎日口に入れるものですので、清潔にしておきたいものです。毎目のブラッシングから十分な効果を得るためにも、歯ブラシの管理と交換する時期に気を付けましょう。 まず、歯ブラシの管理の仕方についてですが、歯ブラシの使用後は流水でよく洗い、歯ブラシについた汚れを落とします。湿気を好むばい歯やカビが繁殖するのを防ぐためにも・よく水切りをし、毛がついている部分を上にして風通しの良い所でしっかりと乾燥させましょう。キャツプをつけたりケースに入れて保管する場合は十分に乾燥させてから保管してください。ちなみに、歯ブラシの共用は細菌感染の原因にもなりますので避けてください。 歯ブラシの交換時期の目安としては、毛先が開いたり磨耗してきたら、うまく毛先が当たらなくなり清掃効果が落ちますので、交換するようにしましょう。また、汚れが取れなくなってしまったものは不衛生ですのでこのような場合も交換してください。 以上の事に気を付けて歯ブラシを清潔に保ち、自分の歯ブラシが交換時期かどうか・一度是非確認してみましょう。

受付 I.A

スタディモデルでわかると

スタディモデル(診断用の歯の模型)とは、診査や診断、治療方針の決定、インプラント治療を行う際の精査、修復物の設計、口の中の状態の記録、および、患者さんへの説明として作られる模型のことを言います。
このスタディモデルを作る目的をもう少し詳しく説明しますと、治療に先立って、歯や歯周組織、顔面の骨格など、どこの部位にどの程度の異常があるかを正しく把握し、治療の対象を明確にします。
そのために、口の中から得られる情報と、スタディモデルから得ることの出来る情報が必要となります。それにより咬み合わせの関係がわかります。咬み合わせは口の中を診査する際に直接見ることが出来ますが、後方の臼歯部は頬などに妨げられたり、唾液の介在によって歯の表面が光つてしまい、咬み合わせによる接触部位を観察しにくい場合があります。特に咬んだ状態で歯の裏側から観察するのは不可能であるため、こうした状態を観察するのに、このスタディモデルは重要となってきます。
また、矯正の治療をしている患者さんの場合は、矯正治療の経過中や、徐々に変化する歯の位置や咬合関係のごくわずかな変化も、スタディモデルを比較して判定することが出来ますし、このスタディモデルを使って、個々の歯の幅や長さ、歯列の大きさを計測して歯列周長分析に記録することで、症例を詳しく分析することが出来ます。
このようにスタディモデル(診断用の歯の模型)を通して様々な情報が得られ、口の中の情報を詳しく把握し治療をする上でとても重要なので、治療をする際にはなくてはならない模型なのです。
 
DT

妊娠中の方へ

妊産婦の口腔内はその時期によって歯口清掃が十分に行うことができません。また、妊娠が直接的な原因で歯科疾患にかかるのではなく、妊娠・出産時の生活の変化による口腔ケア不足が疾患の原因であると考えられます。
10ヶ月近くの妊娠期間中には、妊娠による影響が身体、精神面に出てくることは否めない事実です。生活リズムや食生活などの変化を妊娠前後で比べてみてください。
妊娠時の口腔清掃
妊娠中の歯磨きは、むし歯予防や歯周病予防にとても重要な意味をもっています。妊娠中にこそ歯・口のお手入れは慎重に行うことが大切です。しかし、妊娠に伴って生じるつわりは辛いもので、臭いや味にも敏感になることから歯磨きに努力を要する人もでてきます。そこで、妊娠中の歯磨きのポイントをいくつかまとめてみたいと思います。

つわりのある時は体調の良い時間に!
奥から前にかきだして磨く
顔を下に向けて磨く
臭いの強い歯磨剤の使用は避ける
体がだるくてもなるべく歯を磨きましょう
食べる回数が増えるので、その都度うがいをするようにしましょう
DH A.M
DH H.M

中心結節

8~10歳頃になると乳歯の奥歯が永久歯に生え変わっていきます。時として、生えてきたばかりの小臼歯(中心から数えて4・5番目)特に下の歯の咬む面に「ツノ」のような突起がある場合があります。これは、歯がつくられる時の形成異常で「中心結節」といいます。形の異常以外、特に不具合は無いのですが、「ツノ」のような出っ張りにも神経が通っているので、折れてしまうと大変な事になります。
中心結節をそのまま放置していると、歯の萌出に伴って、上下の歯が咬み合うようになるにつれ、運悪く折れてしまう事があります。
折れてしまうと歯の神経が露出して歯髄炎を起こし、強い痛みが出てしまうので、そうなる前の予防法として、

1. 中心結節の周りをプラスチック(樹脂)で固め補強を行う。
2. 歯髄が損傷しないように年月をかけ、数回に分けて中心結節を少しずつ削る。

歯を守る為にこのような2つの方法がありま寺。この場合、上下の歯が咬み合う前に処置する事が大切なので、定期的なリコールチェックをお勧めいたします。

DA H.N
 

あとがき

多歯言第十八号は、いかがでしたでしょうか?
今回の「多歯言」は予防を中心にまとめて見ました。
ご自分でも管理できることや発見できる内容も載せていますので、ぜひ参考にして下さい。
今後も少しでも皆様の情報源になれるよう、新聞作成に力を入れていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
第十九号は平成十八年六月四日発刊の予定です。
〈編集委員〉

ページトップへ